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7⃣2023年6月13日(火)

 1​「生成AI人工知能から問われる

             「人間とは」の教育
 
2.「就職先としてみる兵庫県職
」の魅力について
​ 3.「放射線育種された米」と、その安全性
          
 4.「めざせノーベル賞、世界的な大学への進学」
       
​ 5.「テクノポリスで夢みる未来への拍動

 6.「兵庫県警、車輛の現有配備状況からうかがう備え」

                        について

2022年2月28日(月)
 1.「四半世紀後の兵庫を占う
        IR等に対する知事の姿勢
​ 2.「兵庫県の歴史に対する敬意
​ 3.「内部管理制度の導入から見える
              監査の本質
 4.「防災県としての

        プライドと、その行く手」  
​ 5.「播磨科学公園都市と播磨灘を潮風で結ぶ

          はりま・ふれあいロード
 6.「新生児難聴
​        早期発見、早期治療の重要性」     

③2020年2月26日(水)
 1.聖徳太子薨去1400年を
         好機にした広域連携
 2.播磨科学公園都市における
          用地の活用と管理

 3.水源の保全
 4.分岐点に立つ教育への自覚
 5.激甚化していく災害への対応

①2017年10月2日(月)
 1.都市計画における線引き見直し
​ 2.西播磨における深刻な医師不足
​ 3.ナショナル・トレーニングセンターの誘致
 4.めざせノーベル賞!教育プロジェクト
​ 5.揖龍南北幹線+α:JR網干駅前へ延伸拡充
 6.山根川の河川改修、
         一日千秋の思いで待っている

2019年2月26日(水)
 1.播磨科学公園都市、
    スプリング8をとりまく価値向上
 2.線引き制度の呪縛からの解放
 3.英語教育の充実
 4.プログラミング教育
 5.優秀な教員の確保

④2021年3月01日(月)
 1.コロナ禍でも求められる
​           円滑な公共事業実施
​ 2.環境保全・創造の担い手とな
る若者へ
​ 3.「体育」から「スポーツ」へ
          スポーツ21からの脱皮
 4.コロナ禍の
 「はりま姫路総合医療センター(仮称)」等
              医療施設の整備
​ 5.デジタル教科書の危うさ
 6.兵庫五国連邦プロジェク
     のスタンプラリーからうかがえる
            アイデンティティ

6⃣2023年2月24日(金)

 1​「現場主義の体現」について
 
2.「兵庫芸術文化センター管弦楽団

  (PACオーケストラ)」のさらなる飛翔に向けて
​ 3.県行財政の昨日、今日、明日を見通すと

                 見えてくるも
 4.社会基盤整備の意義:インフラ老朽化にも、

       土砂災害の激甚・頻発化にも負けず  
​ 5.「万里一空
」ふるさとを支える

               兼業農家の存在意義
 6.「脳を鍛えるには運動しかない」

      幼児期からの発気揚々。運動機会の確保

6⃣令和05年(2023年)2月24日(金)

第359回(令和5年2月)定例会一般質問

質問日:2月24日(金)

質問者:松井重樹議員

質問方式:分割方式

 

前段の後、分割方式にて6問、質させていただきます。

 

「宇宙船地球号(Spaceship Earth)」という言葉が、

ちょうど60年前1963年、

アメリカの思想家バックミンスター・フラーの著作で有名になりました。

9年後の1972年、

スイスに本部をおく民間のシンクタンク「ローマクラブ」は、

「人類の未来は、バラ色ではない」と警鐘を鳴らし著した

「成長の限界」で、私たちが団結できる共通の敵、

その真の敵は実のところ人類それ自身だと言い及び、

世界で3000万部以上に及ぶ大ベストセラーをたたき出しました。

「青春とは心の若さをいう」サムエル・ウルマンの言葉を

いまもかみしめつつ、

この「地球とともに、生かし、生かされている生命」という

青春時代に公案としたものを一本のローソクに、論を進めさせていただきます。

 

1 「現場主義の体現」について

トルコとの時差6時間、ウクライナとの時差7時間。

かの、どちらの地でも今、

おとめ座の一等星「スピカ」が南の空に輝いています。

今月6日未明

トルコ南部で発生したマグニチュード7.8の大地震により、

トルコとシリア両国で、

これまでに判明した5万人以上の犠牲者に弔意を込めつつ、

一年前の今日を思いかえしてみるよう。

2月24日未明、かねてより国境付近に軍を終結させていたロシアが

宣戦布告せぬままウクライナに軍事侵攻、すなわち侵略を開始した。

齋藤知事は、昨年6月1日第358回定例会冒頭の知事提案説明で

「ロシアによるウクライナ侵攻が長期化しています」と述べられ、

本年「1.17のつどい」では

「ロシアによるウクライナへの武力侵攻により、~中略~兵庫で生まれた「創造的復興」の理念をお伝えすることで、

支援活動に取り組んでまいります」と発せられた。

 

そのロシアの侵略行為に対し私は、

「1.17を通じ

生命の尊厳さに真正面から立ち向かうことをしる私たちは、

人が人の生命を奪う愚かさに、NOと覚悟をもって発す」と、

つぶやいたことを思いだす。

バルト海に面するフィンランドがNATOに入り、

黒海に面するウクライナもきっぱり自立をすれば、

ロシアが自由になるは、に残る凍らぬ海洋は東方しかない。

「ウラジ・オストク」

すなわち「ヴラディ・ヴォストーク」のヴォストークは「東」を、

「ヴラディ」は「領有する。支配する」。

つまり「東方を支配せよ」が、我ら日本の北方に迫っているのが現実。

事象事態を深く考察し、立場を表現することは、なかなかに難しい。

ところで、

交響曲第九番「合唱付き」を発表して

200年を来年迎えるベート―ベンが、

同時代に生き交響曲第3番「エロイカ」を捧げたかのナポレオンに、

「人は、その制服通りの人間になる」という至言があります。

その解釈は三つ考えられるでしょうか。

一つは、「ひとの第一印象のおおくは、見た目」なので、

「服装を変えれば、ひとは違って見える」。

二つには、例えば警察官のように、「人に求められる自分になる」。

三つには「なりたい自分になろうと努める」。

1960年代から今に至るビートルズのファッションや髪形も、

イギリス出身のモデル:ツイィギーのミニスカートも、

ひとたび世に一閃、風靡すれば、

たちまち流行という制服に身をやつすにすぎません。

 県職員の服装柔軟化を通達という形で出されたわけですが、

県民に常に見られ頼られ頼みにされる存在であることを忘れぬうえで

日本国憲法第 15 条第2項にある

「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」

立場へたどりつくのかもしれません。

また、1年前の本会議で僭越ながら知事に、

目を見て話しましょうと、語りかけさせていただきました。

それは、県下29市12町、陸地面積全国12位8,395㎢、

人口全国7位540万人に、等しく目を配っていただき、

それこそが「誰も取り残さない」立場につながると、

お願いしたつもりでした。

以上のように

前段で「表現」することの難しさを例にして述べましたが、

今、知事は現場主義という言葉を掲げ、

各地域の課題をご自身で感じ取ることに尽力されておられる。

現場をよく知る職員に耳を傾けての意見交換、対話を重ねられ、

より相乗的な効果を得られるよう念じるものです。

さてそこで、

来年度予算にも数多く組まれている「兵庫県を語る」番組や、

知事定例記者会見に、その時々、

施策担当者を登場させ語らせる機会を増やされてみては

如何でしょうか。

知事のお声を楽しみにしている視聴者が、私の友人にもいます。

その友人をさみしがらせては申し訳ないのですが、

まさに現場の頑張りが兵庫県の頑張りとしての立場が表現され、

それこそ現場の励みにもなる「現場主義」の体現と考え、

ご所見を伺います。

 

   …

 

2 「兵庫芸術文化センター管弦楽団(PACオーケストラ)」のさらなる飛翔に向けて

NHK交響楽団の熱狂的ファンである友人から、

「兵庫芸術文化センター管弦楽団出身のオーボエ首席奏者 

吉村結実(よしむら ゆみ)さん」の音色に、とりわけうっとりすると、

その公演やNHKBS N響演奏会を視聴するたび感想が入り、

よくよく聞かされる。

兵庫県立芸術文化センターは、

貝原俊民知事時代の

平成元年に策定された芸術文化センター基本構想から始まり、

阪神・淡路大震災をはさみ、平成9年の芸術文化センター懇話会、

平成12年の芸術文化センター構想推進委員会で

「芸術文化センター構想」を策定。

その後、平成14年4月に指揮者佐渡裕さんが芸術監督に就任し、

阪神・淡路大震災から10年を経た平成17年の秋、

「心の復興、文化の復興」のシンボルとして開館。

以来18年目を迎え現在に至ることは、皆さん、ご承知の通りです。

コロナ禍に陥るまでの数字をあげれば、主催公演は年300本を、

公演入場者は年50万人を、

ホール稼働数は年300日を超える芸文センター。

昨年12月末には、開館以来の公演入場者数が800万人に達したとのこと。

「自ら創造し、県民とともに創造するパブリックシアターをめざす」

その理念を支える要素の一つが、

佐渡裕芸術監督率いる

兵庫芸術文化センター管弦楽団(通称:PAC(Performing Arts Center)オーケストラ)。

兵庫県立芸術文化センターと共に創設された専属のオーケストラであり、

名実ともに「『ひょうご』のオーケストラ」そのものです。

そのPACオーケストラは、

全国・世界各地で行ったオーディションにより、

選ばれた35歳以下定員48人でなる

「フレッシュでインターナショナル」な

コアメンバーを中心に構成されている。

契約期間は最長3年であり、選ばれることそれ自体が秀逸なら、

3年後の飛翔のための助走にも魅力と鍛錬が求められることは、

選ぶ側にも責任が生じる。

世界的な奏者、著名な奏者を招聘しての共演や、

逆にアマチュアへの指導、「わくわくオーケストラ教室」や

県内各地へのアウトリーチ活動などを通じた次世代を担う人たち、

地域の人たち、そしてさまざまな聴衆の耳への呼びかけを通じ、

音色とともに人生の深みを、このオーケストラでつかんでほしいと願う。

と同時に、28年前、

平成の大合併前の旧揖保川町で、

「人口一万三千人の小さな町に、世界を呼び込もう」と、

音楽専門ホール建設の構想を掲げ町議会議員に立候補し、

6年後、いまも特に弦楽器の音響に惚れる演奏家・専門家に恵まれる

「アクアホール」の完成に心血注いだ体現者の一人としては、

弦楽の響きが、聴衆の人生をどれほど豊かにするか、

その紡ぎの喜びにも打ち震えていただきたい、そう切に願うものです。

そこで、PACオーケストラのこれまでの歩みの成果から、

さらなる飛翔を期待し、

これまでの芸術文化センターの運営において

PACの果たして来た役割をどのように評価しているのかを、

今後の意気込みと合わせて伺います。

 

   …

 

3 県行財政の昨日、今日、明日を見通すと見えてくるもの

2年半前、令和2年第351回定例会決算特別委員会で、

時の「財政状況」に、こんな論法で切り込んでみた。

  • 財政運営への取り組み姿勢、②経済動向分析と今後の見通し、

  • 漫画家佐藤智一さん作

「壁ぎわ税務官」が展開して見せる取り立てる側、

取り立てられる側、各々核心を突く人間模様から

個人住民税の税収確保にむけた市町への支援、

  • 県債の引き受け基盤の強化。

そうして考察を重ねるうちに、

県財政にこれまで抱いていた、

いつまで

「1995年阪神・淡路大震災」の言い訳をもって語るのだろうか、

という想いは、時空を超え、

いつしかまったく別の思索にふけるに至った。

それを以下に述べてみたい。

阪神・淡路大震災の復興は、まさしく当該地方財政が担った。

国の直接財政支援が寄せられるようになった以降の

東日本大震災や熊本地震と異なる次元で評価されるべきなのに、

いまもって「財政健全化」が論争の種になっている。

しかし、それに対してあえて反論を唱えず、粛々と耐え忍びつつ、

そのことを逆手にとったのではないか。

自治省から派遣赴任10年後に副知事になり、

さらに6年後の1986年に知事に選出され、

1995年阪神・淡路大震災に遭遇した貝原俊民知事も、

1996年副知事として請われ五年を貝原知事と過ごし

2001年知事に選出された井戸知事も、

古巣の(旧自治省)総務省に対し、大きくは国に対し、そうすることで

わずか10ヶ月余りの任期でしかなかった初代知事伊藤博文公以来の、

また

国家的見地から兵庫港を国際貿易港としての

中心的な役割に発展させるため、当時未だ規模の小さい兵庫県に、

物産豊かな播磨をはじめとする府県統廃合の原案を練った

内務卿大久保利通公以来の、歴史に意地を通し、矜持を護り、

プライドを示そうと歯を食いしばったのではないか。

財政負担に耐え忍びつつ、

「もう、いいかい」に対し、「まぁだだよ」と、

頑張っている姿を見せつけることで、

有形無形のさまざまな助勢心理を引き出させることにも

つながっているのではないか。

そうして県民には、負の遺産を眼前とさらし、

なにより、「希望」という「かがり火」を、

対比して掲げたかったのではないか。

 

例えば、その施策のひとつが「芸術文化センター」であり

「人と防災未来センター」ではなかったか。

そうして副知事時代を含めた長い経験と知見から、

大久保利通公の府県統合時のように、

播磨や但馬諸地方へ我慢を強い、

辛酸をなめさせることだけを求めぬ目の配りを、してのけた。

 

しかし、その一方で、財政運営はもとより、

創造的復興に向けた血のにじむような取組みがあったことは、

想像に難くない。

その過程において、知事のもとで全ての職員が歯を食いしばって、

無理に無理を重ねてきたのではないか。

そこまで思い馳せたとき、このことが今になって、

本県の行財政運営のどこかに歪みを生じさせているのではないか。

一年前、「内部管理制度の導入・定着から見える監査の本質」を質した。

その際の再質問に対し、

兵庫県職員として「人生を懸けるに値する何か」を

代表監査委員の答弁に感じとった。

それゆえ、今回は、

阪神・淡路大震災による借金を背負いながらの歩みをふりかえり、

どのような感慨が湧き、考察を覚え、

その意義を明日へ託そうとされるのか、

監査人の立場としてのご所見を伺いたい。

以下、質問席に移ります。

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【答弁に対する意見表明】

1 「現場主義の体現」について

□昨年私の質問は2月28日㊊、

質疑が終わってから

3月12日姫鳥線の開通式典で播磨科学公園都市に立ち寄られる午後、

当初予定にないにもかかわらず、急遽

中・西播磨11市町長との意見交換会が行われると案内されました。

当初30分間。さらに数日後には、60分に延ばすと発表されました。

それから2か月後の5月14日に赤穂市、相生市にそれぞれ30分とはいえ、

市長を訪ねられた。

付き従うマスコミの発表によれば、それをもって県下41市町長を、

その所在地に、おおよそ訪ねたことになったとのこと。

 

□兵庫県という看板を背負っているのは、知事お一人ではない。

職員一人ひとりが、兵庫県という看板を背負っているのですよ。

2 「兵庫芸術文化センター管弦楽団(PACオーケストラ)」のさらなる飛翔に向けて

□定員48人のところが、いま38人。とのこと。

聞くところにとれば、パートひとつの公募に50人を超える応募があるとのこと。演奏家として生きていくのは、並大抵のことではない。

【再質問】

3 県行財政の昨日、今日、明日を見通すと見えてくるもの

□答弁を、「兵庫県政を未来に繋ぐため、直面する課題にしっかり目を向け、真摯に取り組んでいく」と結ばれたようだが、その真摯な取り組みの意義を、明日に架ける橋として、どんなふうに未来に託そうというのか。監査人の思いを問いたい。

-------------------------------- 分割 ---------------------------

4 社会基盤整備の意義:

インフラ老朽化にも、土砂災害の激甚・頻発化にも負けず

509日前、2021年10月3日夕刻、和歌山市を流れる紀の川に

1975年より架かる「六十谷(むそた)水管橋」が

長さ約60mにわたって崩落。

川の南側の浄水場から北側の配水池に送水する

直径約90cmの管2本が破断し、

川の北側にある市内約6万世帯が断水した、この事故は、

インフラ老朽化が迫る衝撃を現実のものとして見せつけた。

 多くのインフラを高度成長期に一斉に整備したわが国ゆえ、

この老朽化問題は同時期に起こりえる。

国土交通省の「社会資本のインフラ老朽化対策情報ポータルサイト」では「社会資本の老朽化の現状と将来」として、

建設後50年を経過するインフラの割合を、

例えば道路橋約73万橋2023年約39%→

10年後の2033年約63%と記している。

これにトンネル、水門など河川管理施設、下水道施設、

港湾施設などを加えたインフラに不具合が生じてから修繕を行う

「事後保全」なら

2048年度は年間10兆円を超える維持管理・更新費も、

不具合が生じる前に修繕やメンテナンスを行う

「予防保全」を実施したなら

約47%も抑えることができる、と見積もっている。

とはいえ、建設コストが高騰しているなか、

インフラ予防保全によるコスト縮減などの工夫をしたとしても

途方もない費用だ。

テレビ番組「ポツンと一軒家」を見るにつけ、

暮らしの中の道一本がまさしく生命線であることが、

あらためて痛感される。

また本年は、関東大震災より100年。

地震震度階級に震度7が追加された1949年以降、最大震度7の地震は、

1995年1月17日の阪神淡路大震災まで一度もなかったにもかかわらず、

以後は5回を数える。

このような規模の地震はいつ起こるか分からず、

例えば、

重要なインフラの一つである道路橋が大きく損傷すれば、避難や救助、

支援物資などの緊急輸送に多大な影響が生じることから、

橋梁の耐震化など道路の地震対策は喫緊の課題である。

 

くわえて気候変動等に伴い自然災害が激甚化、頻発化し、

洪水や土砂災害などが毎年、全国各地で発生している。

尊い生命や貴重な財産を守っていくための対策は重要である。

特に本県の砂防関係施設の整備率は目下約30%、

土砂災害対策をしっかりと進める必要がある。

「安全安心基盤の強化」。

これは土木部が掲げる令和5年度重要施策のひとつだが、

机上の空論にさらすわけにはいかない。

ひとえに県民の安全安心のため、

これら老朽化対策も含めた自然災害に負けない社会基盤整備を

どのように推し進めていくか、覚悟、また意義を質したい。

 

   …

 

5 「万里一空」ふるさと支える兼業農家に支援の手を

農業者支援の要件は、①新規就農者へ向けてのもの、

②営農など共同利用を前提とするものがほとんどである。

個人営農者が、農業機器を購入しようとすると、

あくまで複数人数での結成が求められ、

独立独歩を許そうとはしていないかのように思える。

しかし、稲作農地の衰退は、

一つには食管制度の廃止から

米価が歯止めなく値下がりを傍観する価格制度の欠落であり、

二つにはスマート農業が世間で話題となるなか、

農機具が高価で買い替えもままならない、

その結果、従事者の意欲が減退、

農業後継者の腰が引けることにつながっている。

兼業農家その当事者の一人として、はっきり、申し上げる。

ドローンによる農薬散布作業に係わることから、

昨年その作業現場で出会った兼業農家の誰もに、

先祖伝来の耕作地を護る一翼を担う心意気への助勢を、

また飼料の作付け奨励に対して憤慨を訴えられた。

 ひょうごビジョン2050では、自立した経済を謳い、

働き方スタイルの変遷から余暇の新たな過ごし方、

取り組みを提案している。

これを農業に置き換えれば、なんのことはない、

兼業農家の推奨にほかならない。

ふるさとの自然を、田畑を護るために、

市町の職員に雇用されることを選んだ方々を数多く知る。

また、用水路など先人の取り組みの汗の結晶を共同維持することは、

困難であろうと水泡に帰すことはできない。

集団的営農事業より、個々人の耕作意欲を喚起することが、

農業活性化の目指すべき道だと、TV番組「ポツンと一軒家」を観る都度に、

また先ごろ亡くなったMBS高井美紀アナウンサーの「住人十色」を

観る都度に感じる。

もてはやすスマート農業の便利さとは別に、

生き物を生産する大事なこころを、

個人営農者は歯を食いしばってでも伝えねばならないと、

肌身で感じている。

ところで、兵庫県が独自の取り組みとして総合治水条例を定め、

田んぼダム等の田の公益的機能増進を推進していることに

感謝と安心を覚えている。

そのうえで、個人営農者の農機具買換え、

あるいはスマート農業への取り組みに、

少なくとも大規模農業認定者同等同様の補助をする取り組みを願う。

全国の先例になるだけでなく、なによりUターン、Iターン、Jターン、

そしてすべての兼業農家をふくむ農業従事者にとって、

食糧安保を支える一人の担い手として生産の喜びと同時に、

土地を守る自らの存在の意義をかみしめ確かめるであろう。

その覚悟を新たにすることにつながると信じ当局の所見を伺う。

 

  …

 

6 「脳を鍛えるには運動しかない」

幼児期からの発気揚々、運動機会の確保

2年前「『体育』から『スポーツ』へ、

スポーツクラブ21ひょうごからの脱皮について」と題し、

スポーツを「体育」と訳した時点から、

本来遊びであったスポーツに教育の衣が着せられる

誤ったスポーツ観が日本に根付き、

青少年の健全育成という役回りが与えられたことを論じ、

「部活動を学校単位から地域単位の取り組みとする」

待ったなしの新たな地域スポーツ体制の構築を質した。

そうしたところ、「兵庫県体育協会」は、昨年4月、

92年目にして「兵庫県スポーツ協会」と改称された。

さらに、2023年度からスポーツ庁が進める

公立中学校運動部活動の地域移行を受け、

本県中学校体育連盟も、

地域クラブの参加を容認することが、先月末発表された。

 

好機ととらえる民間団体がチーム新設を目指したり、

団体競技では既存チームの参加が、

個人種目ではクラブチームから出場することが想定されている。

問題は、スポーツ、その前に心身を伸びやかに成長させる運動との出会いに、少年期の誰もが恵まれるだろうか。この一点だ。

 

スマホやゲームが、屋外へ、野外へ、

子どもたちを容易に誘えなくさせている今日、

身体を伸びやかに縦横に動かす機会が、

学校の「体育」という授業でしか受けられない境遇にあっては、

心の成長にも大きく影響するにちがいない。

 

脳と気持ちが劇的に変わる脳科学からの運動指南をうたう

ジョン・j・レイティ「脳を鍛えるには運動しかない!」では、

学校の「0時限目」を利用した研究成果をあげ、

運動の必要性を科学的にも訴えている。

ひとつの競技スポーツの錬成や、単なる基礎体力づくり、

スポーツインストラクター、あるいは剣道の社会体育指導員、

サッカーの公認スポーツ指導者など、

学外で望める境遇をないものねだりしようというのではない。

「自らにあったスポーツとの出会いに結び付く運動を

「遊び」として提供できる場を、

学校現場のカリキュラム外で設けられないだろうか」、という提案だ。

 昨年、史上初めてジュニアメジャー4冠を達成し、

天才ゴルフ少女と呼ばれる小学校5年生須藤弥勒(みろく)さんと、

そのコーチ役として

彼女の原石を磨いたお父さんやお母さんのような存在との出会いを、

子どもたちの誰もが等しく得られないだろうか。

念のため重ねて申し上げると、

アスリートの発掘をもとめるためのものではない。

才能との出会いではなく、

個々人の努力との出会いに翼を伸ばそうというものだ。

 かつて、

日常の子どもたち間の遊びを率先してのけた

「ガキ大将」の役回りを科学的に論理的に指導ができる機関を構築し、

誰もが、はからずもその恩恵を受けられるようにとの提案だ。

もって、「脳が鍛えられる」。

その後の人生に、その地の社会に、

間違いなく大きな影響を与えるプロジェクトになろう。

身体能力が目覚め伸びゆく幼児期から、地域地勢を利用した運動や、

各自の能力に併せて、子ども一人ひとりが「愉しい遊び」として、

しらずしらず身体を動かし、その喜びを感じる機会の創出や、

指導できる人材、ここでは「ワクワク感の伝道師」と呼ばせていただくが、

「世界は日の出を待っている」ごとく、

子どもは、秘められた自らの能力との出会いを待っている。

そこで、体を動かすことが好きな子ども達を増やすためにも、

幼児期からの運動機会の確保についてどのように取り組まれるのか、

当局のご所見を伺う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1 「現場主義の体現」について

□昨年私の質問は2月28日㊊、

質疑が終わってから

3月12日姫鳥線の開通式典で播磨科学公園都市に立ち寄られる午後、

当初予定にないにもかかわらず、急遽

中・西播磨11市町長との意見交換会が行われると案内されました。

当初30分間。さらに数日後には、60分に延ばすと発表されました。

それから2か月後の5月14日に赤穂市、相生市にそれぞれ30分とはいえ、

市長を訪ねられた。

付き従うマスコミの発表によれば、それをもって県下41市町長を、

その所在地に、おおよそ訪ねたことになったとのこと。

 

□兵庫県という看板を背負っているのは、知事お一人ではない。

職員一人ひとりが、兵庫県という看板を背負っているのですよ。

 

 

 

2 「兵庫芸術文化センター管弦楽団(PACオーケストラ)」のさらなる飛翔に向けて

□定員48人のところが、いま38人。とのこと。

聞くところにとれば、パートひとつの公募に50人を超える応募があるとのこと。演奏家として生きていくのは、並大抵のことではない。

 

 

 

3 県行財政の昨日、今日、明日を見通すと見えてくるもの

□答弁を、「兵庫県政を未来に繋ぐため、直面する課題にしっかり目を向け、真摯に取り組んでいく」と結ばれたようだが、その真摯な取り組みの意義を、明日に架ける橋として、どんなふうに未来に託そうというのか。監査人の思いを問いたい。

⑤令和04年(2022年)2月28日(月)

第355回(令和4年2月)定例会一般質問

質問日:2月28日(月)

質問者:松井重樹議員

質問方式:分割方式

1.「四半世紀後の兵庫を占うIR等に対する知事の姿勢」について

 

昭和22年4月12日、兵庫県第34代岸田幸雄知事就任から、

県民に直接選ばれるようになって以来、

熟した果物が地に還るように、それまでの人生を兵庫県に賭した歴代知事とは異なり、

「40歳になったら、自分の顔に責任を持たねばならない」リンカーンの言葉があるとはいえ、

民選知事最年少で就任され、

本日まる7か月経過の斎藤知事にとってあこがれの政治家は…。

 

私は、1963年11月23日夜明け前、

史上初めてのTV宇宙中継で「現職大統領暗殺さる」第一報を、

当時は一家に一台のTVに未明からかじりついていたらしい

7つ違いの長姉に「えらいこっちゃ」と枕をけってたたき起こされた当の第35代アメリカ大統領ケネディ。

ただしケネディは、

太平洋戦争最前線で魚雷艇艇長として九死に一生を得る明日をも知れぬ時代と、

14年間の政治経歴を生きぬいての大統領。

核兵器開発のトップにあり世界の頂にいるはずが、

現ロシアが中核なす当時ソビエト連邦に、遥か宇宙から見下ろされていると判った

スプートニク・ショックの衝撃と危機意識に、

「We choose to go to the moon.1960年代の終わりまでに我々は月に行き、無事に生還させる。困難だからこそ、挑戦するのだ」

と具体的な政策をぶち上げたケネディ。

 

26年前の1月17日の阪神淡路大震災の復興に、

のちの東日本大震災復興の国まるがかえとは異なり、

例のない孤独の歩みを託された井戸前知事が、希望あってこそと…、

「指揮者佐渡裕さんを芸術監督に招聘した県立芸術文化センター」、

貝原知事から引き継ぎ「建築家安藤忠雄さんを奔放に躍らせた淡路夢舞台」、

「体育からの脱皮を目指したスポーツ21」等々、

心意気を体現させた手法が重ならないでもない。

 

一方で、例えば令和元年6月第344回定例会で、

「財政健全化比率」を用いたやりとりの丸尾牧議員に、

会議終了後、無所属議員の控室を訪れた井戸知事がなお理解を求めようとする姿勢。

それに応え丸尾議員が「井戸知事だから、国にも一目置かせてなせる業。余人には代えられぬゆえ、そののちを心配しているのです」。

そんな真摯なやりとりを、

当時控室が同じであった私は目の当たりにしています。

 

さて、2025大阪・関西博は2,820万人の入場者見込み。

1970年日本万国博覧会の総入場者数は、倍を遥かな6,421万8,770人。

このうちの3人を占める私の記憶は、

前年1969年7月にアポロ11号で見事持ち帰られた「月の石」と

「太陽の塔」そして「人いきれ」。

ケネディも、1970年万博も、月の石も、私のとっては歴史ではなく実体験。

 

そして竹林の千里丘陵はニュータウンになり、夢洲はIRにと計画。

 カジノ施設はIR施設面積の3%以内に過ぎず、

観光立国で経済浮揚を目指すといってみたところで、所詮は賭博です。

その賭博めがけ群がる富裕客目当てに、

人生ビジョンを設計するような「こころ」を我が子に育てたい。

そう、お思いなのでしょうか。

吹けば飛ぶような私でさえ、

返還前の香港からカジノで成り立つマカオを海飛ぶジェット船で往復し、

わずかとはいえ儲け、肩で風切る粋がりと、ディズニーランドに遊ぶワクワク高揚感。

その異なりを識っています。

 

 ところで知事就任以来まる7ヶ月。

直にまだ会い言葉を交わしたことのない首長さんが現におられるという事実を、

1月31日に開催の県・市町懇話会に出席された方から聞きしました。

 

 また井戸知事時代、

すべての部署それぞれに係わる幹部30数人が月に複数回は寄り、

あるいは県民局単位で年に幾度か知事を囲み開く会議は、

県政全般の動きや課題・情報を共有し、

担当部署以外の分野にも精通することが出来る得難い機会。

それを持ち帰り話題提供することで、

麓から山の天気は容易に察しがついたと、うかがい知る。

ところが現在は、新県政推進室10人ほどが雲となり、

雲上の山頂がどんな天候なのか麓では皆目わからぬと伝え聞く。

第一その雲なるもの、これまで自らを育て鍛え上げたであろう井戸知事施策は

トップダウンだったと全否定し、いまこそボトムアップと宣い、

自己否定を自ら肯定され胸を張られるのを、1月の政調会でしっかり耳にした。

 

また、

「(現)行財政の運営に関する条例」を「県政改革の推進に関する条例」にと、

改正が提案されている内容には、

職員のこころを、組織を、不断から支配し管理する文脈が躍っている。

その審議会委員は、15人を7人にし、

その道の専門家を選ぶと都度都度答弁されていることから、

つまりは専門外のことには口を挟めせぬ暗黙の縛りで、

全体を俯瞰するのは

任命者の恣意的判断に委ねられる巧妙な仕組みになっている。

 

一方で、

私学表彰制度『マロニエ賞』表彰式が昨年12月22日㈬の県公館で開催され、

オーガスタ・ナショナル女子アマチュアゴルフ選手権優勝の

瀧川第二高等学校梶谷翼さんや

全国パソコン技能競技大会で団体優勝し文部科学大臣賞を受賞した神戸星城高等学校など27個人・9団体に、荒木副知事から手渡された。

ところがただ一つ、

第25回全国高等学校女子硬式野球選手権優勝の神戸弘陵学園高等学校女子硬式野球部に対してのみ、

先立つ16日㈭、斎藤知事自ら学校を訪ね贈呈している。

 これは、

12月8日に開催の「読売巨人軍2021シーズン感謝祭in国技館」で、2023年からの本格活動を目指し「女子硬式野球チーム」を新設すると発表し披露目された第1期生の4選手に、

神戸弘陵エース島野愛友利さんが含まれていたことに起因すると容易に想像できる。

しかし、

同じ賞を受賞しながら異なる対応の体現を目の当たりすれば、

多感な十代にどんな感情が湧くであろうか

 

「支配する側」と「支配される側」、「選別する側」と「選別される側」。

そんな区分けが跋扈し始めているようで、恐ろしい。

 

IRは、歴史における中国へ持ち込まれた「アヘン」、

ローマ帝国の円形闘技場コロッセウムのように、人の心の弱さを突く大衆迎合の具象。

IRに巣くわれる人たちを呼び込むことで活性化を図ろうと、

祭りに躍らせられる兵庫県の次代を憂う。

IRに従属する施策から兵庫の躍動がうまれるかのような知事の姿勢に対して、

認識と所見を伺う。

2.「兵庫県の歴史に対する敬意」について            

 

切口は異なりますが、趣が似た質問が、過去に二度。

一つは平成28年度9月第333回定例会で五島壮一郎議員が単に県政150周年を記念して「ひょうご県民の日」制定を、

一つは平成30年2月第339回定例会の山本敏信議員が事の本質・背景に踏み込み、

「兵庫県という名の起こり明治元年7月12日、そして全国唯一五国連携なった明治9年8月21日。兵庫県民としての一体感を歴史に観る機会二つを記念日に」と説き、

「検討」の二文字が、それぞれの答弁に躍っています。

 

兵庫県という名前は1868年1月に設けられた兵庫鎮台が2月に兵庫裁判所に改められ、さらに5月兵庫裁判所を廃止し、変わって兵庫県が設置された。

それをもっていまから4年前、県政150周年記念事業をひろく実施、

その仕上げのように企画されたのが、兵庫津ミュージアム。

 

昨年11月3日に完成式典がおこなわれた際、

井戸前知事が来場着席されていたにもかかわらず、公式に紹介もされなかった報に、

半年前3月30日の起工式に総務常任委員として出席し、

晴れやかに挨拶された主催者井戸知事を目の当たりにした一人として、

感じるものがありました。

 

さて現在のような行政区割りは、1871年7月の第一次府県統合が最初ながら、

その折の兵庫県を構成するのは摂津国西部5郡のみ。

1876年8月21日の第二次府県統合で初めて、いまと重なる兵庫県が誕生。

また現在の県域確定は、1963年9月1日。

 

その第二次府県統合後10年目の1886年に施行された学校令で一府県に公費を使う中学校は一校だけとされた旧制中学校。

この1月にNHK出版新書より刊行された

小林哲夫著「「旧制第一中学」の面目」によれば、

兵庫県では、「県会が多数を以てこれを決したるは、専ら「就学には地方の質樸閑悠なるもの之に適せり。都市熱トウ(鬥に市)の空気は、学生をして、其業に勉めしむる所以のものにあらず」(神戸又(ゆう)新(しん)日報1888年7月11日)は理由から

県議会が、神戸でなく姫路を支持し、

現在の姫路西高等学校にそのルーツがつながっています。

 

その後、県下各地に創立されたとはいえ戦前までの旧制中学は、

学力のみならず、資力にくわえ、親の許可があって初めて門が叩ける垂涎の灯でした。

 

このような「県の歴史を知る」を現在に重ね、

県域県民平等に兵庫県の発足を祝おうとするならば、

県域確定還暦祝いを来年に、

県政150周年を2026年8月21日に、

あらためて祝うべしとの歴史的考察に対して所見を伺う。

3「内部管理制度の導入・定着から見える監査の本質」について

 

 平成29年の地方自治法改正の柱は大きく二本。

片や、「監査委員制度の充実強化」、そして此方、執行機関に新たに課せられた責務として「内部統制」。

本県はこれを「内部管理」と置き換え、知事部局で、令和2年度の制度施行にあわせ、

「兵庫県内部管理基本方針」等を定めるなど体制整備を行い、知事を議長とする内部管理推進会議のもと、適正運用に取組まれていると承知しています。

要諦は、「知事部局の自己チェック責務を明確化した」ことです。

 

 さて不肖私がちょうど10年前、たつの市において監査委員に議会で選出された折りに述べた挨拶が、議事録に今も残されています。

監査の本質を問う質問のまさに急所を突く論点なので、以下その大要を述べさせていただきます。

「監査業務は予算から決算に至る、いわゆるお金、正確さをとらえる財務監査と見られがち。

しかし、現在においては、経済性、効率性、有効性を三つの要点として、政策、施策に対する行政監査、それこそが議会監査委員の特質と考えられている。

そして、御存じのように、監査委員は合議制ではなく独任制。

そうした意味で、「市長と対等の立場をとる」

この機関に身を処することは、議員諸兄のみならず、

その背後におられる市民の皆さまへの責任を重く感じている。」と。

 

 時は今、地方自治法改正から「執行機関側の自己チェック責務」が正常に機能する先には、

監査の重点が財務実務、手続きのチェックから、

政策や施策そのものの効果や有効性に自ずと踏み込まれ、

「虫の目、鳥の目、魚の目」を監査の本質として問うことになりましょう。

 たとえ任命権者は知事であっても、警察本部長と同じく、

いざとなれば池波正太郎描くところの鬼平「火付盗賊改方」ほどの覚悟と矜持が期待される重責に、畏敬の念すら覚えるところです。

 

 内部管理制度の浸透、そして機能発揮を一つの契機に、監査の本質強化に向けてのお覚悟、所見を、代表監査委員に伺います。

​☆ここで質問席にうつる☆

4「防災県としてのプライドと、その行く手」  

 

ちょうど1年前、

「予算を複数年にわたって執行する際には、

執行を翌年度以降に繰り越す手続きが必要となる繰越事務の手続きについて、新型コロナウイルスの拡大による影響に伴う令和2年度においては弾力的な対応をするという財務省主計局の画期的な発出」にいち早く触発され、

「この事故繰越の弾力的対応を僥倖に、コロナ禍対応対策を講じたうえで、

国土強靭化を含む事前防災対策の粛々たる推進を果たしてこそ、防災県として面目躍如たる」と、本会議場で訴えた。

 それは、コロナ禍における補正予算の執行について、

事故繰り越しの事故繰り越しもできるように、国に要望すべき』ほど、

事態の切迫さを憂いたからである。

 その後、私のこの眼点に触発されたように、

国会でもわが県選出:加田参議院議員が財務省に対し国会の場で、同様の論点を俎上に挙げられた。

その後、発足した岸田政権は、昨年21年11月に決定した新たな経済対策で、

国土強靭化の推進などを安全・安心の確保を柱の一つに位置付け、

『防災・減災、国土強靭化のための五か年加速化対策』を着実に実施するため予算を重点配分し、

予算執行の工夫として、R3補正予算から、

国庫債務負担行為の新たな枠組み『事業加速円滑化国債(五か年加速化対策に基づく複数年にわたる大規模事業を計画的かつ円滑に執行するため、補正予算からスタートする国債工事(国交省:1032億円))』を設け、直轄事業に限ってであるが開始している。

これは、私や、同様の眼点に着目した加田参議院議員の議場における議論が伏線となって国を動かし、

今まで補正予算では着手できなかった複数年にわたる大規模事業が直轄工事でできるようになったものと、ひそかに自負している。

また、岸田首相は1月17日衆参両院本会議での施策方針演説で、

ちょうど27年前に阪神・淡路大震災が発生したことに触れ、

『強い覚悟を持って防災・減災、国土強靭化を強化する』と述べられた。

 

国をあげて防災・減災施策を加速化し、推進しようとしているいま、わが県をかえりみて浮かぶ「要」の二点、「人材の宝庫」と「体制の支援」について質したい。

 

  • 「砂防ボランティア協会活動など本県土木職OBの活躍」について

 一昨年2月26日、

その前年に「兵庫県が全国に先駆けて設けたボランティア助成制度」で、

例えば既に冠たる実績誇る兵庫県プロフェッショナル土木職OBを中心とする兵庫県砂防ボランティア協会などの団体運営にも一層の支援をする姿勢を示すことは、

現職の士気を高めるのみならず、「兵庫県、ここにあり」と、

躍動する兵庫県を体現することにつながると質した。

 

聞けば、「令和3年7月伊豆山土砂災害」と記録され、死者行方不明者27名を数える大規模土石流災害を受け、

兵庫県が緊急的に実施したレッド区域点検の現場にも駆けつけたときく。

普段から信頼関係が構築されていなければ、このような阿吽の呼吸で、

県土木職員OBに参画協働してもらえるはずはない。

またこのような実戦現場への出動が、各自の経験や土木知識をさびつかせない「日々研鑽」という一石二鳥の役割を果たすに違いない。

 

とはいえ、県職員が、退職後なお、「世のため人のため」と、

様々な安全・安心に向けたボランティア活動に向かうその「心意気やよし」としつつ、

脈々と受け繋がれる経験と知識を現役世代に伝達しつつ、

気候変動の影響による災害の激甚化、施設インフラの老朽化が懸念されるなか、

土木職OBによる市町を含めた行政や地域住民へのサポートは心強く、

その取り組みについて伺いたい。

 

  • 「国土強靭化五カ年加速化対策実施の鍵は、地籍調査の推進にあり」について

防災・減災、国土強靭化対策の推進には、

社会インフラ整備に必要となる土地の取得が必須条件。

これを円滑に進めるのが、社会インフラ整備予定地域の地籍調査。

 

つい先ごろ、「河川法の土地を占有するには許可を受けなければならない」とする「河川法」の適用を受ける前の建築物を、「倒壊の危険が高い」として撤去の必要性を認識しながら、河川法適用前の建築物は違法ではなく、住民もいたため手を打てずにいたところ、はからずも床が抜けるトラブルの後、全て空き家になり、ようやく強制撤去の検討に入った県が、所有者不明の工作物を強制撤去する「簡易代執行」の適用が可能か、国土交通省に問い合わせた結果、「民家の強制撤去はこれまでにないケース」ながら、法律上は問題ないとの見解を示し、撤去費用約1950万を税金で取り壊すという山梨県のニュースがあった。 

地籍と建築物という違いはあれど、所有の範囲が明確でないことから生じる事業の遅滞は、他山の石とすべき事案であろう。

 

この地籍調査は、基本的には市町が事業主体となって進めるもので、

その重要性から国土調査法の規定により、

国が事業費の50%を負担し、合わせて県も25%を負担していると承知している。

まして、

この地方負担に対しては、その80%が特別交付税で措置される手厚いインセンティブ付き。

県土が広いわが県ゆえ、本格的な調査開始が多少遅れたこともあり、

現在の進捗率全国平均52%に比べ29%ながら、近年の調査進度は、県・市町の一体となっての協力が功を奏し、全国トップクラスとのこと。一層の奮闘努力に期待している。

 

さて視点を変えれば、この地籍調査事業は土地の境界を定め、測量し、

最終的には法務局に登記するもの。

つまり、

その事業費の大半は当該事業地域の測量業者や土地家屋調査士の作業費用に充てられ、

ひいては地域の雇用を生み出すという相乗効果を生んでいる。

 

「国土強靭化五カ年加速化対策」に始まる防災・減災、国土強靭化対策を推進するうえで大前提となる地籍整備調査は、

まさに、新しい時代の国土づくりを効率的に進める上で重要インフラ事業。

その実施・調査の進捗には市町職員に多くの負担がかかる。

それゆえ、権利関係者が多い市街地、その比率が高い市町の体制へ支援。

これがカギでしょう。

また、例えば「復旧・復興支援技術職員派遣制度」を活用した市町業務への支援、

あるいは特別交付税の加算措置など、

目に見えるインセンティブへの方策を是非にと願うところです。

今後の取り組みに向け、所見を伺います。

5「播磨科学公園都市と播磨灘を潮風で結ぶはりま・ふれあいロード」について

 

電子を光とほぼ同じ速度まで加速し、磁石によって進行方向を曲げた時に発生する大型放射光施設Spring-8が1997年10月の供用開始から四半世紀。

対象とする「硬X線」よりエネルギーは低いが、より明るく輝く「軟X線」を用いる放射光施設が宮城県の東北大学青葉山新キャンパスで運用開始されるのが来年。

しかし、透過性が異なり目指す守備範囲の違いから、Spring-8の存在意義が色あせることはない。テクノポリス構想26か所でなお燦然たる輝きは、ひとえにその強固な地盤を持つ地勢の賜物ゆえ。

 

X線自由電子レーザー施設SACLAに詰める研究者、

粒子線医療センター、リハビリセンターに集う明日に夢架ける人々、

県立大学理学キャンパスで生命科学の深淵に迫る学生、

そして近年のサッカー場利用の若人に、平日グランドゴルフに興じる往年の若者。

さまざまな目的で集う老若男女の健康メッカに、瀬戸内海と日本海を結ぶと謳い文句の姫取線が3月12日をもって供用開始。また、播磨臨海地域道路の西進が首長く待ち望まれてもいる。

 

さて、

播磨中央広域「地域戦略プラン」に整備道路と位置づけられ、播磨科学公園都市と文字通り播磨灘の潮風海原を結ぶを構想する「はりま・ふれあいロード」。

1992年6月、旧揖保川町、当時の八木捷之町長が打ち上げてより雌伏30年の時を超え、

此度の姫鳥線の供用開始が、

瀬戸内海と日本海とを見通す存在意義を着眼新たに見直す絶好の機会になりました。

196年前の春、医師としても博物学者としても名高いシーボルトが、

カピタンの江戸参府に随行、長崎出島以外の日本の地に、初めて足を刻んだのが、

西国大名こぞって参勤交代のたび錨を下した現在のたつの市御津町室津。

そこから北へおよそ2里、たつの市揖保川町正條の宿で旧山陽道に合流。

そして近在から「おたいっさん」の呼び声で親しまれる聖徳太子ゆかりの斑鳩寺の傍らを通り一路江戸へ。

その道中日記が、後年「日本」というタイトルで本国オランダから世界へ発刊されています。

そこには、行き交い出会う民の清潔さ、秩序と礼節を持った心根の優しさあふれる様が学者らしい瑞々しさで丹念に書き記されており、

山陽道では花が植えられ手入れが行く届く、その他者へさえ惜しげもなく心を手向ける民度の高さに素直な驚きで満ちています。

その往年の「街道を往く」に、エアバック国内シェアトップ、防衛産業でも名高いダイセル化学工業が在り、「待てば、海路の日和あり」と念願しつつ、

「はりま・ふれあいロード」について、これまでの取組みと今後の見通しについて、

当局の所見を伺いたい。

6.「新生児難聴:早期発見、早期治療の重要性」について 

 

「新生児聴覚検査」は、平成12年(2000)度に都道府県・政令市を実施主体とした国庫補助事業として開始されたものが、

平成19年度の一般財源化にあわせ市区町村を実施主体に変更され現在に至ります。

その認知度は年を重ねるごとに急上昇。

 

検査受検の有無を把握し、受験者数を集計しているのは、

令和元年度時点で全国1,741市区町村中93.4%超えの1,627。

出生児数に対する受検者数の割合は、769,640人中698,589人と、90.8%。

その初回検査の公費負担を実施している市区町村は、平成26年度わずか6.3%の109に過ぎなかったのに、平成30年度38.7%の674、令和元年度は52%超えの914市区町村。

また、検査により把握した要支援児に対する療育への指導援助を行っているのは80.7%超えの1,405市区町村。

ところが、

検査を受けられなかった児に対する対策を実施しているのは、61.0%に過ぎない1,062。

 

日本耳鼻咽喉科学会によれば、両耳に難聴がある新生児は、およそ1000人に1人。

しかし驚くべきは、厚生労働省の調査に、その実数が把握されていないこと。

我が事と考えれば一歩前に踏みだすであろうに、調査をしたかどうかだけが関心の恐怖。

 

さらに、困ったことは、検査法が2種類あるという事。

外耳→中耳→内耳→聴神経→脳幹へと情報伝達されるにもかかわらず、

内耳までしか検査できないOAE(耳音響放射)と、脳幹まで検査できるABR(聴性脳幹反応)。

 

聴覚が感じるは「音」。しかし、胎内に生命として宿りし瞬間から、母親や周囲とコミュニケーション覚え、「我思う、ゆえに我あり」、そう「音」を意味あるものと思考を構築する「言語」としての認識は、脳幹まで達し、初めて成立します。

 

ところが、

確実にABR検査により脳幹まで情報伝達されているか検査が行われている児は、

どうにか2/3を超えているに過ぎない現実。

自己の中で「音」が意味ある「サイン」として認識することが、どれだけ重要であるか、

本人はもちろん取り巻く周囲の方々の人生においても至極当然のことです。

そこで県下における、分娩取扱い機関における新生児聴覚検査の実情と、

難聴を早期発見し早期治療するために必要な事業展開について、

切迫した事態という重要性の認識についてお尋ねします。

④令和03年(2021年)3月01日(月)

第351回(令和3年2月)定例会一般質問

質問日:3月01日(月)

質問者:松井重樹議員

質問方式:分割方式

〇冒頭:

 昨春アドバルーンをあげておいた、揖保郡太子町にその名を遺す聖徳太子1400年忌の本年。

その弥生一日(ついたち)、自由民主党県議団、松井重樹質問のテーマは、

「リーダーとは、希望を配る人のことだ」「リーダーとは、希望を配る人のことだ」。 

 この言葉を残したのは、今年5月5日に没後200年を迎えるナポレオン・ポナパルトです。

  フランスの…と一国にとどまらず、生きておられれば御年(おんとし)250歳の楽聖ベートーヴェンが、交響曲第三番にその名を遺した「エロイカ(英雄)」ナポレオン。

「リーダーとは、希望を配る人のことだ」、これをテーマに6問、分割方式で、質問します。

 

  1. コロナ禍でも求められる​円滑な公共事業実施

 福島県沖で2月13日夜遅くに発生したマグニチュード7.3震度6強の地震は、10年前の「東北地方太平洋沖地震」の余震とのこと。

 宇宙誕生ビッグバンより160億年、地球誕生46億歳の時間軸は、とてつもない。

 48年前1973年に刊行された小松左京の「日本沈没」は、関東大震災から50年という節目だったことにくわえ、第4次中東戦争を機にする第1次オイルショックからの狂乱物価で包まれた社会不安のさなか。

 1970年の大阪万国博覧会に代表される薔薇色の未来ブームに対する、まさにアンチテーゼの登場は、上下巻あわせて385万部の大ベストセラーの衝撃を与えた。

 いま再び、東京オリンピック、そして大阪・関西万国博覧会と湧き立ち始めた世情に、突如と打ち寄せたコロナ禍。

 

 折も折、つい二十日前2月9日に飛び込んできたNEWS。

 100年に一度の大雨にも対応する「完成堤防」に、なお幅10m以上の盛り土したうえに桜を植える「桜づつみモデル事業」を、12年間かけ2016年に完成させながら、一昨年10月12日台風19号で決壊した長野県千曲川。

 その災害復旧現場で、1万3000カ所以上の施工不良が見つかり、施工した大手ゼネコンによる工事の全面やり直しが始まったというのです。

 昨年の決算委員会で、私自身が取り上げ懸念を指摘した災害現場での、新たな人為的ミス。

 防災県として胸張りし兵庫県が、このような逆流にのまれることのない対応を果たせるか。

 まさに否応なく、注目が集まるところであります。

 

 さて予算を複数年にわたって執行する際には、執行を翌年度以降に繰り越す手続きが必要となります。

 いまコロナ禍の現況を鑑み、財務省主計局は、この繰越事務の手続きについて、「令和2年度における繰越しについて」(令和2年 11 月5日付け財務省主計局司計課長事務連絡第4498号)を発出しました。繰越事務のうち、とりわけ事故繰越について、新型コロナウィルスの拡大による影響に伴い、弾力的な対応をおこなうとしたのです。

 具体には、以下のような内容です。

  • 感染拡大防止の観点から積極的に事業・工事・納期の延期等を行ったものを含め、繰越事由として広く取り扱うとともに、詳細な証明等を要しない。

  • 延期後の事業完了時期等の設定が困難であっても、翌年度に実施できるものとみなす。

 また、繰越事務の手続きに当たっては、感染拡大防止の観点から、資料の事前送付やヒアリングの省略等を行う。

 つまり、初期の目的を憂いなく達成するため、執行に必要な事務的な手続きが簡略化され、万一工事が遅れる可能性がでても、現場で円滑に工事が進められるよう、環境を整えると図ったのです。

 

 この事故繰越弾力的対応を行幸に、目前に立ちはだかる「新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止」と「ポストコロナに向けた経済構造対策」を講じたうえで、国土強靭化を含む事前防災対策の粛々たる推進を使命に果たしてこそ、防災県として面目躍如となります。

 

 明らかにされた2月補正予算でも、来年度当初予算でも、積極果敢な事前防災対策が示されました。

限られた期間で、多くの事業の執行、そして求められる完璧な完遂。

 信頼を寄せつつも、工事を実行する施工業者側には技術者不足や感染防止対策の実施による負担など、設計・積算を行う発注者側には職員等の在宅勤務というこれまでにない影響など、それぞれ懸念があるのではないか。

 老婆心ながら、憂いております。

 と同時に、関係者一丸となっての取り組みが一層強固なものになるよう、「辛」抱に一本加えて「幸」を抱く「心棒」が必要であろうとも考えます。

 

 NHK大河ドラマは、渋沢栄一を主人公にする「青天を衝け」が始まったばかりというのに、来年は、いざ鎌倉」の礎となる「鎌倉殿の13人」。

 再来年は「どうする家康」と決定しており、キャスティングがすでに始まっています。

「いざ鎌倉」とばかりに、迅速な予算執行へ「どうする兵庫」と迫られ、あらためて足元「防災ひょうご」をかため、手抜かりなく「青天を衝く」ために、どのような対策を講じようとしているか、伺います。

・答弁に対し用意していたコメント(時計の進み具合から残念ながらカット):

 国土強靭化加速化対策推進に必要な職員数を確保していくという前向きな答弁を頂き、ありがとうございます。

 しかし、本県は、H7年1月に発生した阪神淡路大震災からの創造的復興を成し遂げるため、1.3兆円に上る震災関連県債の発行など多大な負担を強いられたため、財政を立て直すために、平成11年度から行財政制改革に取り組み、本庁組織を全国最小規模の5部体制に再編し、一般行政職員を平成20~30年度で30%も削減してきました。その大変な努力をしてきた中で、R3年度中途採用、R4年度採用枠の増員していただくのは大いに職員の負担も減り、非常に喜ばしいのですが、それより、あらゆる事態に備えて、新型コロナウィルスの感染防止に国民全体に協力を求めている国難の時である今こそ、「事故繰り越しの事故繰り越し」も柔軟に対応できるように制度を変更していただくだけで、職員数を大幅に増やさないで対応できると思うのです。

 先の先を突き、きっちり初期の目的を悠然と達したのち、言行一致の兵庫県だからこそ、しくから国に要望すべきであると意見して、次の質問に移ります。

.「環境保全・創造の担い手となる若者へ

「グレータ・トゥーンベリ効果」は、スウェーデン産まれ16歳の少女Greta Ernman Thunbergグレータ・トゥーンベリさんが、ヨットで大西洋を15日間航海のすえ、国連気候行動サミットで演説した2019年9月23日をもって確かなものとなり、世代を超え、国境を越え、時を超えて地球そのものへと波動しました。

「生態系全体が崩壊しかけている。私たちはまさに絶滅に差し掛かっているのに、あなたたちが話すのは、お金のことと、永遠の経済成長というおとぎ話だけ。人類が制御できない、決して後戻りの出来ない連鎖反応を引き起こすリスクがあるというのに、その結果とともに生きていかねばならない私たちを前に、よくも、何とかなるなんて、装うことができたものだ。」とバッサリ。

 2015年に達成期限を迎えたMDGsエム・ディ・ジーズ (ミレニアム開発目標) に代わる世界目標として、

その年の9月に国連サミットで採択されたSDGsエス・ディ・ジーズ「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」が一気に認知度を得たのも、

菅政権がカーボン・ニュートラル「温暖化ガス排出実質ゼロ」2050を掲げたのも、

米電気自動車(EV)テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の総資産が今年1月当時テスラ株の急騰で

1850億ドル(約19兆円)となり世界最大の富豪に浮上したのも、

「グレータ・トゥーンベリ」効果によるものとさえ、いえるでしょう。

 

 毎年1月年次総会を開催する世界経済フォーラム(WORLD ECONOMIC FORUM)、いわゆるダボス会議の2020年発表によれば

SDGs認知度前年調査で、

「聞いたことがある49%・よく知っている8%」と答えた日本は、54・11のフランス、51・16のオーストラリア、51・11のカナダ、50・20のアメリカ、49・13のイギリスに続き、調査対象となった主要28ヶ国中、最下位28位。

ちなみに、スウェーデンは87・33の第6位。

 そのダボス会議発表時期に同様の調査を10代~70代の男女、性年代各100名づつ計1,400名に試み、

人口構成比に応じてウエイトバック集計した電通の数値はもっと興味深い。

 SDGsという言葉の認知度は、

2018年14.8%→2019年16.0%→2020年29.1%と、2019~2020に一気の上昇。

 なかでも顕著なのが、男性10代28.9%→55.1%。なんとか4人に1人だった認知度が、2人に1人は必ず知ることに。

女性20代は9.3%→31.7%。10人に1人でも怪しかったのが、なんとか3人に1人は知ってる…かも。

 また職業別における15歳以上である生徒・学生は24.8%→45.1%。4人に1人、どうにか知っていたのが、ひょっとすると2人に1人は知ってるかもね。

 つまりは、二十歳前後の若者世代における認知度が、ここにきて急激なアップ。

 さて、兵庫県においては、一昨年12月21日に「ひょうごユースecoフォーラム」を立ち上げ、

昨年12月25日に第2回を開催しています。

 また、県立尼崎小田高校は「瀬戸内海の環境を考える高校生フォーラム」を主催し、環境・防災地域実践活動高校生サミットと2018年名称変更のうえ、昨年11月で10回大会を数える活動を行ってきました。

 

 伝えるべきは「知識」にとどまらず、「自ら考え」、「自ら歩む」、その精神でありましょう。

 異端者のレッテルを張られながら時代を挑発し47歳で亡くなってからまもなく38年を迎える歌人寺山修司は、

私たちに「死を抱え込まない人生に、どんな真剣さがあるだろう」と、逃れられない「挿し継ぐ責任」を問い、

次代を担う若者には「自分の存在そのものが質問なのだ。その答えを知りたくて生きているんだ」と逃れられない「引き継ぐ責任」から目をそむけさせまいという「公案」を、時代を超え、突きつけています。

 

 いまコロナ禍で全人類に警鐘を打ち鳴らす「有限な地球、その地球に生かされている」事実を正視する

ビッグ・バン「グレータ・トゥーンベリ効果」に応え、

兵庫県として、

次代を担う若者へ、環境保全・創造の精神をどのように示し、

あまねく分野の底流となるよう、一人一人の心に担い手としての自覚を、いかに育んでいこうとするのか。

現在の取り組み状況からの考察と、今後の方向性について伺います。

〇答弁後に再質問:

「兎追(お)ひし彼(か)の山(やま)/小鮒(こぶな)釣(つ)りし彼(か)の川( )」で始まる「故郷」は、1914年(大正3年)尋常小学校唱歌6学年用に発表されました。ちょうど、父が生まれた年なので、私にとっても思い入れの深い歌であります。その三番は、

「志を果(は)たして/いつの日(ひ)にか歸(かえ)らん/山(やま)は青(あお)き故郷(ふるさと)/水(みず)は清(きよ)き故郷」と続きます。

井戸知事がお生まれになり幼年時代を過ごされたのは、この兵庫県。ほぼ40年の時を隔て、知事として20年間。「志を果たして…」ならぬ、「志を果たしに、いざ帰らん」だったのではないかと推測いたします。その志が果たされたか否かは、襷を受けた若人が、われらが等しく生を受けた、この地球の環境保全そして創造に取り組む、その生きざま・姿勢にかかると思われます。その若人に、ぜひエールをお願いします。

〇井戸知事の再答弁:

 私の思い出は揖保川の思い出でございます。そのような意味でその思い出を持つ、ふるさとに思い出を持つ、そのような機会をぜひ兵庫の若人に持つ機会をできるだけ広く与えたい、そういう思いもありまして環境学習、あるいは自然教室、わくわくオーケストラ、トライやるウィーク、高校時代のボランティアというような体験教育の体系化を図りました。
 図ってはいるんですが、その体験を通じてふるさとにぜひ愛情を持ってもらいたい。ふるさとを愛せ、若人よふるさとを愛せ、大志を持つだけではなくて、ふるさとを愛せと申し上げたいと思います。

 

.「『体育』から『スポーツ』へ、スポーツクラブ21ひょうごからの脱皮」

①   「総合型地域スポーツクラブの制度整備」について

「健全なる精神は健全な肉体に宿る」をけだし名言としてあがめる風潮は、

スポーツを「体育」と訳し、本来遊びであったスポーツに、教育の衣が着せられ、青少年の健全育成という役回りが与えられたのと似ています。

 そもそもこの言葉は、古代ローマの詩人ユウェナリスが、「風刺詩集」で著したものです。

 弁護士でもあった彼の原文は「健やかな身体に、健やかな魂が願われるべきである」で、「そうであったらいいな」と、世を「風刺」したもの。時のローマ市民に対し、誘惑に打ち克つ勇敢な精神を強く求め、現実はそうでないことを嘆き、訴え、皮肉ったのです。

「誘惑に打ち克つ勇敢な精神」は、1900年たった今日只今にも、まさしく「風刺」として生きています。

 

 日本では、スポーツの種目団体を競技団体と呼称し、もっぱら競技会を開催、選手の育成強化に専念。種目団体の大きな柱である普及は、学校に任せてしまいました。

 さらに、スポーツを2つに分け、競技スポーツと生涯スポーツと命名し、

競技スポーツは勝利至上主義を、生涯スポーツには健康維持増進目的のレクレーション・スポーツにしてしまいました。

 唯一、東京オリンピックの翌年1965年に全国リーグ・日本サッカーリーグ(JSL)を立ち上げたサッカーが、

26年後にJリーグを発足させ、J1・J2・J3と、南米や欧州のようにストリートサッカーからトップ選手が生まれる普及=育成を、組織化させたといえるでしょう。今からちょうど30年前、1991年のことです。

 

 教諭の働き方改革を呪文にした、学校の部活動の今後は、先に同僚議員が質問されました。

 私は、

 令和4年度からの開始が決定され、スポーツ庁が進める総合型地域スポーツクラブ全国協議会による「登録・認証制度」の運用から始まる制度整備が、都道府県行政の主体的関わりを求めていることに焦点を当て、

さらにその「登録基準」に絞って、質させていただきます。

 この登録基準は、①「子供から高齢者までの多世代」、

 ②   「様々なスポーツを愛好する人々という多種目」、

 ③   「初心者からトップレベルまでそれぞれの志向とレベルに合わせて参加できる多志向」。

 この三つの欲張りな特徴を、自主的・主体的に運営するのだといいます。

国のこのような動きは、画期的というより、現実性を持てない感じさせない夢物語と、危惧さえ覚えます。

 そこで、①合致するスポーツクラブの素地はあるのか。②そもそも、指導する側・される側、その出会い…、その質は…、どのよう担保されるのか。③都市部のみならず、全県均等の機会が設けられるのか。

以上3点を切り口に、当局の所見をお聞かせください。

 

②「スポーツと運動」について

「運動をさせた子どもは成績が上がる」、

「運動すると35%も脳の神経成長因子が増える」、

「運動することでストレスやうつを抑えられる」、

「運動で5歳児のIQと言語能力には大きな差がでる」、

「運動する人は癌にかかりにくい」、

「運動を週2回以上続ければ認知症になる確率が半分になる」。

これは、ハーバート大学医学部准教授ジョン・J・レイティ氏が最新科学でわかった脳細胞の増やし方を説く「脳を鍛えるには運動しかない」で明らかにした研究成果です。発表以来12年に及ぶロングセラーとなっています。

 ここでいう「運動」は、体を動かすという狭い了見でとらえるものではなく、「スポーツが本来持つ遊びごころ」であって、文字通り「運」を「動かす」ものに、ちがいありますまい。

 

「50m、1500m、走り幅跳び、ハンドボール投げ、懸垂」、これが、1964東京オリンピックを契機に制定された当時文部省によるスポーツテストでした。記録を点数に置き換え、最高点が各種目20点満点、合計100点。80点以上が金章。

 不肖、私は高校の三年間学年トップで、金メダル三つ獲得しました。

1999年からは、種目を入れ替え、新体力テストとして19歳までの学校現場で行われているほか、県下各地で6~79歳のサンプルが集計されているといいます。

 また、令和元年度現在、登録団31,000団、登録団員65万人というスポーツ少年団は、4歳から19歳まで、文科省の新体力テストに似通った測定を行っています。

 

いずれにしろ、現実には、学校現場を離れれば、自らの身体能力や体力測定を毎年測定する継続性は失われます。

 県下どこでも、全県民が、自らの意思で測定に望める機会を設け、必要な運動メニューを処方箋として受け取る。

なんてスポーツ薬局があれば、「スポーツが本来もつ遊びごころ」に火が灯るのではないか。

献血制度が他者への貢献であるように、

「スポーツ=運動」は、自らが健康であることをもって、他者への貢献になっているのではないかと、そう思えるのです。

 そこで、学校体育を卒業してしてからも、個人が意思と意欲を一生涯持ち続けられるよう、

「スポーツという遊びごころ」の動機づけにつながるスポーツ振興策について、伺います。

 

4.「コロナ禍の『はりま姫路総合医療センター(仮称)』等医療施設の整備 」

 建設工事が進む「はりま姫路総合医療センター」には、新型コロナウィルス感染症対策として対応可能な病室が新たに整備されます。新型コロナに対する、時々刻々の情勢変化は、たとえ設計図面が決定されたうえでの工事真っ最中であろうと、基本設計段階の「西宮病院と西宮市立中央病院の統合再編新病院」、あるいは基本設計に入る段階の「がんセンター」の整備にも、少なからず影響され、完成までは寸時を惜しんで、なお一歩なお一歩、よりよき対応が行われるものと、当該圏域の県民は注目しています。

 

 また最近の事例で言えば、県立病院間の遠隔画像診断ネットワーク構築や、加古川に来年度設置される内視鏡下手術支援機器のように、進歩する医療機器、医療技術を機動的に導入していく姿勢を示すことが、県民の信頼・安心にどれほど寄与していることでありましょうか。

 

 そこで、現在整備予定の病院について、「コロナ禍からの禍を転じて福と為す」未来への対応をどのように考えているか、当局の所見を伺います。

 なお、これよりは、質問席に移ります。

5.デジタル教科書の危うさ

「デジタルファーストは時代の要請」だと威勢よく、紙の教科書を排して、子供たちの目前にタブレットを配するデジタル化が推進されようとしています。

 紙が無駄の象徴として費用面のみが俎上にあげられますが、教育効果としての考察、人間の脳の発達に見合ったものであるか、理知的な考慮がおざなりになっていると、思われて仕方ありません。

 

「㋐紙の教科書のみ ㋑紙の教科書とデジタル教科書の併用 ㋒デジタル教科書のみ」、この三つを対照させる実証研究にかかる段階だと、文科省はいいます。

 しかし、アメリカの高校、大学、ノルウェーの小学生など、先行した諸外国からの分析結果は、いずれも否定的なものばかり。

 

 読み書きベースの文化からデジタルに影響される文化に移行したこの10数年間で、私たちは「一瞬で、新しくなくなる情報」からなる「現在を、追いかけ続ける」…そんなふうになってしまっています。

 先日、NHKのTV番組に出演のある脳科学者は、直線上をまっすぐ歩くことを指示された学生が、三半規管を微弱電流で刺激する、ただそれだけで、まっすぐ歩こうと意志はあるのにまっすぐ歩けず、絶望的な表情に陥る実験をみせたうえで、

「かくのごとく、人間は自分が自分の全ての動きを決めていると思っているけれど、意志以外のものも簡単に働いてしまう、そんな、もろい部品50ほどが合体したもの」とバッサリ。

 

「スティーブ・ジョブズは我が子になぜiPadをさわらせなかったか?」

「ビル・ゲイツは、我が子には14歳になるまでスマホをあたえなかった」。

 こんな刺激的なコピーが躍る「スマホ脳」は、教育先進国スウェーデンの精神科医であるアンデシュ・ハンセンさんの著作。兵庫県出身の久山葉子さんによる日本語訳版は、昨年末発売以来2ヶ月で20万部の売れ行きをしめす関心度を生み、すでに増刷4刷が書店に並んでいます。

 

 そこで伺います。

 文科省の実証研究にさらされる子どもたちが、新しいものに触れる喜びは、常に最良の結果をもたらすとは限らないことを、身をもって知ったとき、県として、学習結果に責任を負う覚悟はあるのでしょうか。

 また、紙の教科書、デジタル教科書について、どのような見識をおもちなのでしょうか。

6.「兵庫五国連邦プロジェクトの

     スタンプラリーからうかがえるアイデンティティー」

​ 昨年の決算委員会の県土整備部所管審査で、たつの市龍野地区が重伝建県下六番目の指定となった尽力に感謝しつつ、6つ揃ったことから、上向きの三角形と下向きの三角形が合わさった六芒星は、男と女、光と闇、動と静、体と魂など相反する力の調和と統合を象徴し、日本の伝統模様にも「籠目(かごめ)」という、竹籠を連続した六芒星の形に編んだような模様があり、魔除けのパワーがあるとされているので、この際、重伝建指定6か所それぞれの活動・成長をにこやかに見守るのとは別に、HYOGOワン・チームとして売り出すキャンペーンを提案。

 が、観光キャンペーンそれ自体は産業労部の守備範囲ゆえに、この場での展開は差し控えると続け、クロスオーバーを演じたところ、場の空気が揺らぐ、ずいぶんな反響がありました。

 

 来年度予算編成の新規事業目玉の一つ、

「兵庫五国連邦プロジェクト(U5H)」の部局横断で実施の「五国交流」展開は、あのクロスオーバーを演じたコンセプト提案が日の目をみたものと、密かな喜びと、しております。

 

 ところで、兵庫県下は、平成の大合併を経たいま41市町を数えます。

「五国兵庫」を売り出してはいますが、佐用町にわずか含まれる美作、赤穂市にわずか含まれる備前を加えれば、

正確には七国になります。

 なぜ、かくも私が七国こだわるか。

 それは佐用町の当該地に、親しい交わりをもった方がおられたからです。さらにいま、電子空間に「e県民」加入促進を図ってもいます。

 

 ここで周囲を見渡していただきたい。

 自らが居住する地域をくわえ県下41市町すべてに足を運び、その地を語る何ものかに触れ、感じ、胸張っていまこそ言おう「ふるさと兵庫人」と。なんて方は、どれほどおられるでしょうか。

 その思いは、「五国スタンプラリー」が、「ひょうご観光本部が実施する観光キャンペーン」と連携し

実施する新規事業に採用されての、これから。とにもかくにも、よかったじゃないですかと、安堵を促されます。

 

 しかし、「スタンプラリー」などという言葉で、「ふるさと兵庫」は形成されるのでしょうか。

 一生のうちに県内をあまねく巡る機運を目に見える形で県自らが表し、交流に一石を投じようというのであれば、例えば途切れぬ人気の神社仏閣を巡った記念押印してもらうアナログ「御朱印」、これを各市町に予算を渡して新たに製作願い、各市町の本庁舎正面玄関に設置。五国を現地で味わう五感からの印象、「御朱印象帳:御朱Impression」、

さらには第6感のインスピレーションへ到達願い「御朱インスピレーションInspiration」を、あまねく県民がふるさと兵庫を意識し巡らずにはおれないワクワクを制作配布する。

 そこまで意気に感じる域に、踏み込もうじゃないですか。

 

 いま霞が関では、働き方改革と称して、国家公務員の献身を金銭と計るがデジタル社会と、印鑑廃止の同じテーブルで、談じられています。

 しかし、エジプト遠征におけるナポレオンは、

「兵士たちの勇気を鼓舞するために報奨金を出しましょう」という提案に対し、こう応じました。

「人は、わずかな日当や些細な名誉のために、命を投げ出すのではない。彼らの心をふるわす魂にこそ、応えなければならない。自分たちの任務に、より高い意味付けをすることによって、使命感や誇りを持たせる。つまりビジョンの共有が重要なのだ」と。

そして、彼は、兵士たちにこう叫んだのです。

「諸君、ピラピッドの上から4000年の歴史が君たちを見下ろしているぞ」。

 

 この故事をもって、「いまあなたは、ふるさと兵庫200年の歴史になる」。あるいは、「君よ、来るひょうご200年の地に、風に、空に舞おう」。

 ネーミング及び実行方法について、一考を促したく、当局の感性を伺うものです。

〇エピローグ:(原稿を用意しながら、時間切れで述べられなかった)

ナポレオンではじめ、ナポレオンで終えた、そのエピローグを、井戸知事に差し上げたい。

「人生という試合でもっとも重要なのは、休憩時間の得点である」。

③令和2年(2020年)2月26日(水)

第347回(令和2年2月)定例会一般質問

質問日:2月26日(水)

質問者:松井重樹議員

質問方式:一括方式

 

  1. 聖徳太子薨去1400年を好機にした広域連携について

「日出る処の天子、書を、日没する処の天子に致す。恙なきや」。

聖徳太子が遣隋使小野妹子に託し、隋の第2代皇帝・煬帝(ようだい)へ607年に届けられた国書のこの書き出しは、独立の気概を内外に示すものであり、1262年後の1869年2月2日、福沢諭吉が、のちに慶應義塾医学所校長となる松山棟庵へ宛てた書簡で初めて登場させた「一身独立して、一国独立す」の精神へと通じる、日本一有名な手紙でありましょう。

 聖徳太子、福沢諭吉と並べれば、日本銀行設立以来1958年初めて発行された一万円札の初代、二代目。まして、戦前2回、戦後5回、計7回と最も多く登場の聖徳太子は、いずれも発行当時の最高額券を示し、まさに日本の顔であり、満天下に示す日本の文化的支柱として歩んできました。

蛇足ながら、その役目は、現在の生活保護法である「救護法」施行に、晩年、命を張ったという渋沢栄一へと、2024年バトンパスされます。

ともあれ、そんな絶対的存在感をいまに伝える聖徳太子が薨去されてから、再来年2022年春に1400年を迎えます。

 法隆寺をはじめとして、縁につながる名所旧跡やサントリー美術館など、数多くの施設が記念行事に取り組んでおり、県下においても揖保郡太子町に存する斑鳩寺が、県の助力も受けながら庫裏の修理を行なっています。加古川市の鶴林寺、加西市の一乗寺も、聖徳太子の縁につながる名刹です。

 思えば27年前、日本で初めてのユネスコ世界文化遺産に同時登録されたのは、姫路城と法隆寺でした。

 この日本の顔ともいうべき聖徳太子。ある時期から教科書に「厩戸王」と併記する動きがみられます。これに対し「新しい教科書をつくる会」などが、律令国家形成の出発点となった聖徳太子あればこその、日本を主体とする古代史ストーリーであるなどと批判を湧き上がらせ、あらためて聖徳太子の存在意義が際だって、脚光を浴びています。

 同じ2022年度には、関西広域連合による働きかけなどもあり、いよいよ文化庁が関西へと移転なされ、現京都府警本部に居を構えます。

 関西広域連合が策定した「関西観光・文化振興計画」は、海外から見て魅力ある文化発信力を戦略的にワン・チームとして高めるとしています。はたして、その戦略とは何か。「文化遺産を結ぶ歴史的・文化的ストーリーの発掘等による観光ルートの開発」とうたっています。

 聖徳太子薨去1400年を機に、「日出る処の天子、書を、日没する処の天子に致す。恙なきや」という聖徳太子の気概を文化的ストーリーに高め、関西におけるゆかりの文化資源を観光ルートとして紡いでゆく。まさに、あと149日に迫った東京オリンピック2020のスローガン、「United By Emotion」。一つになれる感動の誕生、そのものではありませんか。

 この地に移転してくる文化庁と歩調をそろえ、関西広域連合が掲げる「アジアの文化観光首都・関西」において、レジェンド聖徳太子に獅子奮迅の働きの場をしつらえる。

 まさに、これは、「ラスト・サムライ」の撮影で姫路の書写山圓教寺にやってきたトム・クルーズの同じく主演作「Mission:Inpossible」ではなく、「Mission:Possible」実現可能なミッションではありませんか。

 広域での観光・文化振興のための観光ルート開発に取り組む絶好の、新たな視点・切り口になり得る。

 そう考え、当局の所見を伺います。

 

2.播磨科学公園都市における用地の活用と管理について

 理化学研究所を頭脳とする大型放射光施設SPring-8を核にした播磨科学公園都市は、

第一にX線自由電子レーザー施設SACLAなどを用いた研究の集積を産業に活かす科学技術、

第二に県立大学播磨理学キャンパスを中心とする人材育成、

第三に県立粒子線医療センターや西播磨総合リハビリテーションセンターなど健やかさへの願い、

第四にJFA(日本サッカー協会)規格のコートサイズを有するサッカー場3面を中心とする心身の躍動、

第五に自然をふところに抱えて自動運転実証実験などに取り組む創意工夫。

そしてこれら科学技術、人材育成、健やかさへの願い、心身の躍動、創意工夫を五感に、ひとと人が、ひとと自然が、ひとと科学が住み交わり、集まり散じつつ、生きている実感に抱かれる、そんな一つの生命体としての拍動を第6感にもつ存在だと、感じています。

さぁ、そこで…

(1)県立西播磨総合リハビリテーションセンター芝生広場の活用について

 谷間を背面に、粒子線医療センター、西播磨総合リハビリテーションセンター、そして光都学園なる児童養護施設の建物群の三面に囲まれ、サッカー場がゆうに一面とれようかという県立西播磨総合リハビリテーションセンター芝生広場は、時折使用されていることも見受けますが、柵に囲まれ、普段は立ち入ることができません。そして、毎度毎度の草刈り管理。

 かつて、私の知友が傍らの特別支援学校長をしていた折りに話してくれた夢が、今も鮮やかによみがえります。

 すなわち、「大空と広い大地のなかで、科学をキーワードに図らずも集うことになった人々が、老いも若きも、病を持った者も青春を爆発させる者も、汗をかき行き交う。生きている、生かされている。それを自分の内に、他者の存在に感じあう。そんな桃源郷であればなぁ、そうなればなぁ」と。

 都市としての完成形を待つまでもなく、その途上にあっても、広大な芝生広場の存在とは別に、当該地は、取り巻く施設の利用者に「元気」を奮い立たせ、「勇気」を醸しだし、「生気」に満ちる絶好のロケーションと成りえます。草刈り管理に委ねるには、あまりにもったいない。

 柵を取り払いましょう。そうして、交流に生かせるような活用を検討いたしましょう。兵庫県なら、出来る。そう信じ思い、所見を伺います。

 

(2)産業用地等の管理について

 ロングパイル人工芝「ハイブリッドターフ」を敷いた目も麗しきフィールドをもち2017年10月28日(土)に開場式を行い、ASハリマアルビオン vs INAC神戸レオネッサの記念試合を皮切りに供用開始した、人気随一のダイセル播磨光都第三サッカー場。

 そのスタンドから、フィールドをはさみ、産業用地C-7区画1.8㏊を下支えする法面に広葉樹の雑木が無造作に立ち並ぶのが見えます。秋から冬へ、その木々から舞い散る落ち葉が、フィールドプレーヤーの足もとを、危うくさせています。

 何事かあってからでは遅いと、指定管理者の西播磨サッカー協会が、先々に気を回し練習前、試合前、毎度毎度ブロアーで吹き飛ばすほか、対処に汗をかいていると伝え聞きます。

 ついては、播磨科学公園都市の賑わいの中心となっているサッカー場で、プレーヤーが安心してパフォーマンスを発揮できるように。また、産業用地への見学をふくめ、応援や観客、あるいは旅人として訪れた人々に風光明媚を保った自然環境を提供するように。そして、科学公園都市随一の賑わいに水を差すことがないように。さらには、産業用地としての訪問者の足が向き、食指が思わず動くよう、適切な管理・整備を願って、所見を伺うこととします。

 

3.水源の保全について

 県土の7割を占める森林は、水を蓄え、水源地としての機能を果たし、県民生活や経済活動に欠かせない貴重な資源です。

 近年、過疎化や高齢化がより顕著な状況を生む山村における林業の低迷から、森林の適正な管理がなされにくくなり、兵庫県は人材育成にと、3年前に森林大学校を宍粟市に開校したのは周知の通りです。

  

 そのような状況の中、外国資本による森林や水源林の買収問題が、近年話題となっています。

 農林水産省による昨年の発表によると、居住地が海外にある外国法人または外国人と思われる者及び国内の外資系企業と思われる者によって取得された土地は、平成18年からの累計で、全国で森林6787㏊、農地14㏊、合計6801㏊に及びます。比較のために例を挙げると、明石市域の面積4942㏊、尼崎市域の面積5072㏊、相生市域の面積9040㏊。このうち兵庫県では、平成30年に米国の法人によって上郡町で140㏊、姫路市で118㏊の森林が買収されました。太陽光発電用地としての買収目的でした。しかし、他道県では利用目的の多くは、「資産保有」、「不明」、「未定」とする森林の買収です。

 国においては安全保障の観点から、地域においては固定資産税の徴収、ある日突然の外国人のみによる集落が出現する租界化などのほか、特に、水源地域の土地取得にともなう過剰取水、水質汚濁による周辺環境が懸念されています。

 以上のような状況のなか、自治体レベルで水資源の保全を目的に、開発行為の有無や面積の多寡にかかわらず、水資源とその周辺地域にからむ土地取引についての事前届け出を義務づけることなどを規定する流れが顕著になっています。

 2011年の北海道ニセコ町における条例制定が発端ですが、県レベルでは、2012年3月制定の「北海道水資源の保全に関する条例」をはじめ、四国の徳島県、九州の宮崎県をふくめ、名称に多少の差異はあっても、現在19道府県を数えます。

 土地取引に関する法令としては、国土利用計画法と森林法がありますが、いずれも土地取得者に対する事後的な届け出制度です。対して、先に述べた水資源保全条例は、契約締結前の届け出を義務づけることが眼目です。その眼目をもって、早期に状況を把握し、不適切な売買を防止しようとするものです。

 兵庫県においては、神戸市の「布引渓流」、豊岡市の「福寿の水」、養父市の「ぶなのしづく」、多可町の「松か井の水」、神河町の「千ヶ峰南山(みなみやま)名水」、宍粟市の「石水山(いしみずやま)の御水(おんみず)」、たつの市の「天祗(あまぎ)神社(じんじゃ)湧水(ゆうすい)」など、なかには霊感あらかたなるといわれる名水も多く、ポリタンクをもって遠方から取水に訪れる風景も珍しくありません。また加古川、揖保川、円山川の一級河川をはじめとする河川からの兵庫県企業庁をはじめとする水道事業、農業用水への導きは、まさに天からの授かり物です。

 この天からの授かり物の源たる森林や水源林等の水源地域の保全に関して、兵庫県としても地域指定を含む独自の条例制定を行うなどの対策が必要と思われますが、いかがでしょうか。

 

4.分岐点に立つ教育への自覚について

 ドキュメンタリー映画「オーバー・ザ・リミット」が再来月4月10日に劇場公開されます。

 2016年のリオ・オリンピック、新体操ロシアのマルガリータ・マムーン選手が金メダルを獲得するまでの道のりを追ったものです。

 優雅なパフォーマンスを見せる二十歳のリタことマルガリータ・マムーン選手。その美しく華やかな表舞台の裏側で、数多くのオリンピック金メダリストを育て上げたイリーナ・ヴィネルコーチや、名選手としてならしたアミーナ・ザリポアコーチとともに、日々さらなる高みを求めて練習に励む姿を、一足早く予告編で見ました。

 スパルタ、パワハラ…観る人によっては、そんな形容詞を用いられるかも知れませんが、私の視点は、原題「オーバー・ザ・リミット」そのもの。「限界を超えて」、その限界の捉え方です。

 才能を伸ばし引き上げる階段、環境、投資。スポーツ、というより一段上のアスリートの世界では、当然のごとく、誰一人疑いません。

 わかりやすく、視点をさげてみましょう。子供が初めて自転車を目の前にし、乗りこなすまでの過程。あるいは縄跳びで二重跳び、交差跳びへの技の挑戦を思い浮かべていただきたい。スポーツであれば、学校現場でも自らの高みを、限界を設けずに、挑戦できる、している、させているではありませんか。

 ひるがえって、学科科目はどうでしょう。100点をとれば、良し。あくまで学年で設けられた与えられた課題が全てであり、リミットです。同学年なら誰にも、同じレベルの教材を提供することが公教育とされています。

 英才教育が、学校教育に必要だといおうとしているわけでありません。

 ただ、横並びを平等だとして、減点法で未達成者をランク付けする方法ではなく、加点法によることが、自らによって目標を見いだし、達成する喜び、ひいては、自分の成長が仲間を助けたり、自分を見守るグループや地域、国の発展とリンクする思考に結びつくのではないか。

 つまり、「才能への素材提供」。

 そう連想されていくのです。

 同学年なら誰にも、同じレベルの教材を提供することを公教育とするかぎり、科学立国としての日本の未来に立ちこめている暗雲のもとにあるのではないか。

 ノーベル賞受賞のニュースに湧きながら、一方で科学の世界における論文数や世界大学ランキングをはじめ、さまざまな分析から示される日本の研究力の低下。科学立国としての足もとに暗雲が立ちこめている警鐘は、教育への警鐘そのものでもあります。

 社会学者エズラ・ヴォーゲルがその著書「Japan as Number One」で日本経済の黄金期を象徴した1979年のころの世界人口は、およそ43億人、現在はおよそ76億人。日本はというと、1979年当時が1億1千万人であり、現在が1億2千万人。さらに30年後の2050年、世界人口は97億人と予想されるに比較し、日本は1億人を下回る9500万人。日本の1億人というマーケットが、先ず、自国の商工業を下支えしてくれた1979年当時と大きく異なり、日本のマーケットの地位が、世界において、低下する一方だというこの背景事実。

 鉱物資源を、世界に依存しなければならない日本にとって、「Japan as Number One」と謳歌された時代以上に、人的資源の開発が必要不可欠だという、事の本質に、事の重大さに、迫っていないし、動いていない。さらに踏み込めば、地域の雇用と定住は、産学官の共同開発によっての充実が鍵であり、中小企業の競争力や技術力を高めるに結びつく、地域の教育から始まるのではないか。

 教育内容を何でも平等にするのではなく、才能への気づき、才能への挑戦、関心を自然に湧かせ生かせる仕掛けが必要だと思うのです。

 100人が一歩ずつ歩を進める、もっともな平等論です。しかしそのためには一人の百歩、一人の花咲かじいさんの存在が一気に裾野を広げ高める。ニュートン、ワット、エジソン、アインシュタイン、ビルゲイツ…。進化進歩の歴史に記されたこの事実を、私たちは直視する必要があるのではないか。

 そこで、数学・理科の自然科学の分野においては、自分が自分であることを自覚するという第2次性徴時期の10歳前後、すなわち小学校5年生進級時に、高等学校卒業レベルまでの教科書を一冊にまとめ全員に提供してはどうでしょうか。

 もちろん、学校においては、学年時期に合わせた文科省に定められたレベルを教え試験するとして、興味を持つ子供たちの知識欲には際限をもたさないようにすることで、公平な教育の提供を保ちます。

 お兄ちゃん、お姉ちゃん、あるいはおじいちゃん、おばあちゃんがいれば、背伸びすることでわずかにでものぞけた年齢を超えた知識を、少子化、核家族のいま、子供の目の前に提供する。このことに、意義があるようにも思えます。

 引き出しにではなく、目の前に提供され並べられた書棚に手を伸ばし、インスピレーションを働かせ自学自習の途に興味を抱く。そんな人材の誕生への投資、それが必要な分岐点にさしかかっているのでは、ありますまいか。

そして、それを異端児、のけ者にする教育ではなく、自分にはない能力を「すごいねぇ」と素直に認め称えあう教育。そこにこそ、目指すべき教育の姿があるのではないか。そう、思うに至るのです。

 トライやる・ウィークで、自分で考え生きる力の育みを子供たちに期待できた兵庫県です。

 知識への高みを自ら拓いてゆく取り組みを、子供たちに託してみる。いかがでしょうか、所見を伺います。

 

5.激甚化していく災害への対応について

(1)浸水想定区域及び土砂災害警戒区域内の要配慮者利用施設における避難確保計画の作成等への支援について

 平成29年6月19日に水防法と土砂災害防止法が改正され、浸水想定区域や土砂災害警戒区域内の要配慮者利用施設のうち、市町地域防災計画に定められた施設管理者等に対して、避難確保計画の作成、避難訓練の実施が義務づけられました。

 しかし、平成31年3月31日現在の県下における作成状況は、水防法によるもの2,572施設に対し作成は624施設と、わずか24%。土砂災害防止法によるもの786施設に対しては、21%にすぎない166施設にとどまっています。

 これは、ルーチンワークをこなしながらの時間的余裕のなさもさることながら、専門知識をもたぬことによる戸惑いや尻込みされていることがうかがえるのではありますまいか。これら計画の作成や訓練の実施に際しての出前講座や、人的派遣、補助金等が施設現場では望まれていると、聞きます。

 よって、県下の要配慮者利用施設における取組を促進するため、管理者等によるこの計画の作成や訓練の実施に対して、県として積極的に支援すべきと考えますが、ご所見を伺います。

 

(2)災害ボランティア活動への支援について

 昨年、兵庫県が全国に先駆けて設けたボランティア助成制度は、素晴らしいタイムリーヒットでした。

 残るは、人材運用・出動の大きな潜在力の宝庫として組織された災害ボランティアグループの活動維持に対する助成に向ける視点だと、思われます。

 一例を挙げますと、兵庫県砂防ボランティア協会は、さまざまな災害時の支援活動や予防研修等の砂防ボランティア活動に取り組まれています。その道に長けた県職員OBがボランティアとして参加している事実は、大きく喧伝されてはいません。しかし、この協会が、その積みかさねてきた経験や素養から、いかに貴重で有用なプロフェッショナル戦力であり、心強い存在であることか。

 スクラム組んだ仲間は、1+1=2どころか、3にも4にもなります。しかし、その礎となる連帯・連携など意識を持続向上させていく常日頃の活動あってのことです。

 そうした団体への運営資金を補助することは、会員の精神的肉体的な大きな支えとなり、新たなボランティア活動のインセンティブになるに相違ありますまい。

 そこで、災害ボランティア活動の更なる促進に向けて、各分野の専門的知識を活かしてボランティア活動に取り組む災害ボランティアやその団体運営に対する、さらなる支援について所見を伺います。

 

 今回の質問を貫く私なりのテーマは、

「自信」や「誇り」という意味の言葉、「矜持(きょうじ)」であることを申し上げ、席を移ります。

 ②平成31年(2019年) 2月26日(火)

第343回定例会 一般質問

 質問日  平成31年2月26日(火)

 質問者  松井 重樹 議員

 質問方式 一括方式

 83年前の今日2月26日、帝都東京は真っ白な雪におおわれておりました。

 2.26事件。

 当時、近衛兵だった父は、この事件の鎮圧に三日三晩不眠不休であたりました。

 淡々と、その折りの話しを聞かせてくれた在りし日の父を想いだしながら。

​ 2月26日、忘れることが出来ないこの日に、はからずも、この壇上に立てる偶然に感謝しつつ、

以下5問7項目にわたり、質問いたします。

1 播磨科学公園都市、スプリング8をとりまく価値向上について

 スプリング8の供用開始1997年10月より21年半が経過しました。当時の科学技術庁から初代単身赴任者として派遣されていた先輩に案内され、供用前のビームライン内部を徒歩で一周したのが昨日のようです。

当時に思いを馳せながら、以下3項目お伺いします。

 

(1)スプリング8の価値向上について

 世界に誇る播磨科学公園都市のスプリング8が、「硬X線」と呼ばれる放射光を用いるに対し、エネルギーは低いがより明るく輝く「軟X線」を用いる次世代放射光施設が、東北大学に建設され2023年ごろからの運用が目指されています。

 硬X線は、重元素を感度良く測定でき、物質内部の分析を得意とするに対し、軟X線は、軽元素を感度良く測定でき物質表面の分析が得意なのだといいます。その特長から、新薬の発見や新たな触媒、高分子材料、磁性材料の開発などへの威力が発揮されると期待されています。

 このため、東北大学での新施設は、播磨科学公園都市内のスプリング8と互いに補完する役割を担うとされています。とはいえ、スプリング8の1/10の5メガワットの省エネ運転で、軟X線領域においては100倍の輝度を誇ります。

 新施設が設置される東北大学は、古くは磁性鋼であるKS鋼、新KS鋼の発明者として知られ、1932年に日本人初のノーベル物理学賞候補にあげられた本多光太郎さんが研究を行ったり、近年では長くノーベル賞に近い一人とされ、高周波特性と高耐圧特性に優れた日本発の半導体デバイスとしての静電誘導デバイスの発明、光通信の3要素である半導体レーザーなどの発明者である西澤潤一さんを輩出するなど、標榜する「研究第一主義」が名高い。

 その本多光太郎さんが東北大学に迎えられる前に席をおき最初の画期的発明KS鋼を世に問うたのが、現在Spring-8を運用する理化学研究所であり、理系の三太郎といまに至るも称される土星型原子モデル提唱の長岡半太郎さん、米ぬかが脚気の予防につかえる事を発見した鈴木梅太郎さんも、理化学研究所で、きら星のごとく輝くスーパースターの一員であります。

 

 その航跡に色あせることない歩みを残して来ているSpring-8も、うかうかしていられないぞ。

 これが、私の実感であります。

 今定例会で提案成立された補正予算においても、放射光研究センター(仮称)の高度化整備などを行っていく方向が示されてはいますが、科学の世界に、停滞はありえません。。

 そこで、Spring-8スプリング8の価値を一層向上させるために、今後どのような取り組みを具現化されようとしているか、当局の所見をお伺いします。

 

(2)県立大学と関連機関の連携と理系教育の充実について

 1983年7月15日施行の、いわゆるテクノポリス法によって生まれた26地域において、他と比肩することなく、播磨科学公園都市と、いまにその存在を世に知らしめるのは、ひとえにスプリング8の存在があったればこそ、です。

 先に述べた新たに、次世代放射光施設と銘打たれた研究施設が、東北大学に整備されることを聞くと、科学の進歩へのアプローチにとって、その独占的地位などというのは、一過性に過ぎないことはあらためて思い知らされると同時に、Spring-8が理化学研究所あってのものとはいえ、そこに位置する学究施設としての県立大学に思いがおよびます。

 

 さて神戸大学医学部の前身は、兵庫県立神戸医科大学であります。

 さらに、その母体は兵庫置県と共に建設された神戸病院です。明治、大正、昭和と県政の歩みの中に幾多の変遷、消長を経て、51年前の1968年3月31日に国への移管が完了し、神戸大学医学部となりました。つまり神戸大学医学部の歴史は、この附属病院の歴史でもあり、遠く129年前に始まった兵庫県の歴史の一ページでもあるのです。

 また、現在の神戸大学におけるトピックなニュースといえば、法学部と法科大学院の5年一貫教育で司法試験を受験できる国の新制度「法曹コース」の導入に向け、法科大学院を廃止した新潟大、鹿児島大、熊本大の学生を受け入れる教育連携協定を結んだことです。法曹コースは、文部科学省が2020年度にも全国の大学に設置を認可する予定のもので、法学部3年時までに必要な単位を取得するなどした学生が、早期に卒業して法科大学院の法学既修者コース(2年間)に進めます。文科省は法科大学院がない大学でも、他校と連携すれば法曹コース設置を認める方針で、その狙いは、地方を中心に法科大学院の廃止が相次ぐ中、法曹を志す学生が学べる場を確保することにあります。

 神戸大の法科大学院は司法試験の合格率が高く人気で、今回の協定は、同大学院を廃止した新潟、鹿児島、熊本大にとっても、利点として、法曹志望者を自校の法学部で受け入れやすくなることがあげられます。

 

 さて、兵庫県では、医療機器や航空機に使われる金属新素材研究センターが4月に開設します。県立大学姫路キャンパスにおいては、施設拡充が努められています。播磨科学公園都市におけるSpring-8スプリング8へのテコ入れ整備も、図られています。

 

 ところで、私は理系大学の充実が県内人口を増やすことにつながると、つねづね考えてきました。

 端的にいえば、文系志望生にとっての進学先は「どこの大学で、何を学ぶか」の順で問題になるに比し、理系志望生のそれは「研究したい対象が何で、どこの大学に」の順になっているかのように、私なりのわずかな経験則から感じてきたからであります。

 となれば、兵庫県立大学にとっての大いなる命題は、魅力的な学問を学ぶ場であろうところにいきつきます。

 

 そこで、これまで述べてきたことを踏まえ、ニュースバル放射光施設をもつSpring-8播磨科学公園都市キャンパスをふくめた兵庫県立大学の、とりわけ理系研究部門において、他の学究機関との提携や学部のてこ入れ、あるいは大学院の先端科学大学院大学への発展的解消統合などについての可能性や展望、また、県下における理系教育の充実に向けての方向性を、お伺いします。

 

(3)播磨科学公園都市の魅力向上について

 昨年の決算委員会において、バイオベンチャーが集まる山形県の鶴岡サイエンスパークの取り組み事例を紹介しました。

 いわく、土地の造成などを含む総事業費75億円で、ホテルや子育て支援施設を相次ぎ開業し、世界の研究者が集うサイエンスパークに賑わい施設をつくり、ひいては若手研究者をまちに呼び込もうとしている。先端生命研究所富田所長の「世界的なサイエンスパークになるには、リゾート感やわくわく感が必要」というコメントとともに。

 

 理化学研究所Spring-8の存在をもって創生、成した播磨科学公園都市。

サッカー場やドローンの活用、自動運転の実験、はあくまでも、その魅力向上の一部にすぎません。

Spring-8をともに土壌となるべき感性が、いまこそ望まれているのではありますか。

 

 そのため、例えば、Spring-8播磨科学公園都市の名を活かし、神戸大学付属病院の分院を播磨科学公園都市内に設置し、粒子線医療における先駆的研究の提携など、新たな展開を探り、様々な検討を進めていく必要を、強く感じるのです。

 

 これまで述べてきたように、現在、播磨科学公園都市の土壌を成すSpring-8の魅力を向上させようと様々な部局で、県庁横断的に取組が進められてきています。

 播磨科学公園都市の開発の旗手である企業庁に敬意をはらいつつ、一層の魅力づくりに向け、どのようにイニシアチブを発揮していこうか、その手ぐすねぶりをお伺いします。

2 線引き制度の呪縛からの解放について

 一昨年、「土地政策における県の規制緩和」について一石を投じさせていただきました。

 要は次の通りです。

 兵庫県政150年は、期せずして市街化・市街化調整区域という線引き制度が生まれた都市計画法大改正、つまりは「新都市計画法」50周年にあたる。2000年の規制緩和で、権限は国より都道府県に委譲され、眼目の線引き制度すら廃止可能となった。押しくら饅頭をして陣取り合戦をせねばならないバブル経済に向けての土地政策から、いまや望んでもままならない地域からの人口減少へ対応した土地政策が求められている。つまりは変化に対応した施策が求められていますよと。

 それなりの風が、流れるようになってきたかのようです。

 いわく、地区計画をおたてなさい。さすれば、望みのものに近づけるやもしれませんと。

 しかし、いまいちど咀嚼していただきたいのです。

 

 地域創生は誰のためのものでもない、自己の実現を図るためでしょう。

 地域創生は誰の責任でもない、自己の責任においてなされるものでしょう。

 地域創生は、誰に任せるものでもない、自己の完結によってなされるものでしょう。

 地域創生を、県民の力が湧く叫びに応えられるものに、少しでもちかづけましょう。

 自己責任で自己完結が可能と自ら申し出る自己実現に対する意欲には、その心意気はよし、そうエールを送って差し上げる地域創生にしましょうと。

 

 さて、いま求められているのは何か。

 迅速性です。

 地区計画をたて、3年後の整備を目指しましょう、などという悠長さとは異なる、別次元の提案・規格・要請を、現にあるのです。

 

 先ず希望があり、地域住民もそれを望み、市町もそれに対するインフラ整備を含む責任を持つ。その三拍子以上に、県の忖度を3年以上待っていたのであれば、チャンスは霧散し、他へにげてしまう。それがビジネスチャンスの限界です。

 

 県下の市町では、少しでも地域をよくするために、魅力を向上させるために、お金がないなら知恵を絞って頑張っています。そのような現状を踏まえ、土地計画法について、現場では地域の実情に応じた、血の通った運用をお願いしたい。

 これまでも都市計画法は弾力的な運用に努められていると承知していますが、地域自らが考え、実りある地域創生を実現するためにも、地域の実情に応じたより弾力的な制度運用が必要と考えますが、当局のご所見をお伺いします。

 

 

3 英語教育の充実について

 

 川崎市が、全国に先駆け、聴覚障害者や耳の不自由な高齢者が議会審議を傍聴しやすいよう、AI(人工知能)で議場での発言を瞬時に文字化し、傍聴席に設けたモニターに表示する取組を始めました。

 40インチのモニターを11万円で購入し、傍聴席を3席撤去し設置、変換作業の委託費は年間42万円と伝え聞きます。変換ミスの修正を重ね、時間を追うごとに、精度が増すものと期待されていると聞きます。

 

 言語の翻訳においても、単体機器のみならず、スマートフォンにおいてさえ、ソフトの進化は著しいものがあります。

 これらの状況から、翻訳機等の技術発展により、英語が話せなくとも、英語圏外国人とのコミュニケーションが成り立つようになるかもしれない近未来において、果たして英語教育はどのように予想されるでしょうか。

 

 大学入試に英語外部検定試験が新たに導入されることへの対応に、県立高校の全ての英語教員を対象に外部検定試験を活用した研修を行なう方策などが、図られています。

 

 翻訳機能で言語コミュニケーションがAI化される研究成果が世に問うべく研究を傾注するべきか、英語で議論が交わせるようになるのが早いか、悩ましくて仕方ありません。

 AIがより発達すれば、英語教育は不要となるのか。

 AIなどの先端技術は、感情を腹の内をさぐる感情などにも及ぶのだろうか。

 

 そうは言っても、言語として、自らと異なる文化を知るに必要であれ、不必要になることはないのではあるまいか。

 数学者であり現在姫路文学館館長である藤原正彦さんの著作「祖国とは国語」をまたずしても、兵庫県立大学理事長で現在日本経済新聞「私の履歴書」今月連載中の五百旗頭 真さんの「日本は衰退するのか」を待たずしても、英語教育で話すべき内容を国語で身についておきつつ、かなたも此方も、その文化や歴史まで教育していく必要があるのはないか。

 そのためには、今後、高等学校において日本人と異なる文化背景を持ったネイティブの外国人外国語指導助手(ALT)の大幅な増員を思い切って図るなど、コミュニケーションと異文化理解を重視した実践的な英語教育を行っていく必要があるのではないかと考えます。

 そこで、今後の英語教育の方針について当局の所見をお伺いします。 

 

 

4 プログラミング教育について

 プログラミング教育について、お伺いいたします。

 コンピュータの世界では、電子回路におけるオン/オフやプラス/マイナスといった2極で構成されることから、それぞれを「0」と「1」に置き換える数値表記で情報が書かれます。つまり、コンピュータをプログラミングする言語は、「0」と「1」からなる二進法で成り立っています。

 40数年前、社会において、まだまだコンピュータが一般的でなかったとき、航空自衛隊の防空システム構築の職に当たっていた友人からきいた「うんちく」が、いまだに耳を離れません。それは、「プログラミングは、知識を習得すれば誰でも出来る。しかし、0から1、スタートから結論に、コンマ0秒の瞬時にたどり着けるプログラミング構築ができる者がいれば、1時間の後にようやくたどり着けるようなプログラミングしか出来ない者もいる。すなわち、それほど思考の深さが技量にあらわれるのだと」いうことです。つまり、プログラミングには論理的思考力が必要なのです。

 現在、IoTやAI等、ICTの急速な発達が加速度的に進展しており、今後、社会のあり方そのものが劇的に変化する超スマート社会の到来が予測されています。こうしたことも背景に、2020年度から小学校において「プログラミング教育」が必修化されます。

 小学校のプログラミング教育は、子供たちの情報活用能力を育成し、各教科の中で、各教科の目標を達成しながら、プログラミング的思考を身につけさせるのが狙いとされています。

 今月18日、文科省、経産省、総務省が発表したところによれば、小学校のプログラミング教育普及に向け、今年9月を「未来の学び プログラミング教育推進月間(略称:みらプロ)」に設定し、トヨタ自動車、グーグル、NTTドコモ、積水ハウスなど17社・団体と連携し、希望する学校に①企業訪問や講師派遣による「スペシャル授業」や、②企業が作成する動画配信による「教材提供」を行うこととされ、「スペシャル授業」の希望は3月15日まで、「教材提供」の希望は4月15日までの応募を受け付けるといいます。

 教える側と教わる側が、年齢や、教諭と児童という置かれた立場とは逆転することが十分に考えられる現場からすれば、こうした官民連携による取組みは救いの手のように映ります。

 そこで、この「みらプロ」への応募、他方面からのアプローチの有無、そして現場教諭の知識養成・対応等、それらのシステムプログラミングをどのように構築、構成、実施なさろうとしているか、お伺いします。

 

 

5 産休代行教員の補充補強について

 過日、西播磨地域夢会議ワークショップにおける結果発表の場に、参加させていただきました。

 今回のワークショップは、①歴史遺産の保存・活用から観光事業への展開、②未来へ向けた人づくり、③地域の良さ活用。この3つのテーマそれぞれに応募した高校生48名、一般生33名に、核として夢会議2年間任期の18歳以上からなるビジョン委員31名。あわせた112名のうち、会長をのぞく111名が、13グループにわかれ、それぞれに意見を交わし合ったのです。

 

 このうち、「②未来へ向けた人づくり」を選んだのは4グループで、「近い未来、もしくは遠い未来に、友達と自分が先生になったとしたら」どんな情景が見えるだろうかという発表でした。発表を担ったのは、いずれも高校生。

その発表に、わいてきたのが二つの疑問でした。

「学校の先生」という職業を無意識に想定していること、そして、にもかかわらず、「生徒によりそってあげたい」という趣旨に対してでした。

 

「教えるというのは、職業としてだけでなく、父親として、母親として、友として、先輩として、地域の仲間として」さまざまな立場があるだろうに、それへの想像はわかなかったのでろうか。そして、「学校の先生」というのなら教科担任、つまり何を教えるかという発想が欠落していることに、驚いたのです。

 あとになって、その場の参加者であった友人の一人に聞いてみると、彼自身がワークショップの間に、そんな感情がわいてきて発言したのだけれど、多勢に無勢、発表は高校生たちに任せたといいます。

小説「宮本武蔵」を代表作にする作家吉川英治氏の「われ以外みなわが師」という言葉も、「何を教えるか」という教える究極の命題にも、思い及ばぬ現在の高校生。いかに、教え教わることの難しさであることか。

 

 一方、知事が今定例会の冒頭「提出議案の提案説明」で触れられたように、また千葉県野田市における「しつけ」と逮捕後もいってのける父親が犯した10歳女児死亡事件の報におののき戦慄するように、家庭の教育力の低下が懸念されて仕方がありません。

 

 このような情勢のなか、教諭を職業として選択した者たちにとって、預かりし生徒たちとともに、我が子を育児する環境が、本当に整っているのであろうかと心配になってきました。思い返すと、小学校、中学校、高等学校、いずれの学校現場においても、産休代行教員の補充に、苦慮しているという声を、いくつも聞いておりました。

 補助員の手配は、校長自らが先頭に立っており、補充員として働いていただけそうな方に連絡を取り、場合によっては、その相手方のもとに足を運び、何回も交渉を重ねるとお聞きしています。

 それだけの苦労を重ねても、なかなかすぐには見つからないのが実情だといいます。

 年度初めなれば、なおさらです。祝福すべき同僚の妊娠の報に接しながら、補充教員の手配に大きく息を整えなければならないなんて、あまりにつらいじゃないですか。

 児童・生徒に対し、ただ傍らで寄り添うだけでなく、学問的な好奇心や探究心を育んでやらねばならない就業場所としての学校現場で働く教諭について、応分な補助、保護が成されるように願うばかりです。

そこで、産休代行教員の補充補強に苦慮せねばならないという現場の声に、現状の認識と、その対応をお伺いします。

①平成29年(2017年) 10月02日(金)

平成29年9月 第337回 兵庫県議会定例会 一般質問

質問日:10月2日(金) 

質問者:松井重樹議員

質問方式:一括方式

 

 私は、今日の兵庫県が何をしてくれるかを問いに来たのではありません。

 明日の兵庫県のために何ができるかを問いに来ました。勇気、判断力、信念、献身、その四つに自らを懸け、明日の兵庫県のためになら、必要とあらば、仲間に対しても立ち向かえるかどうか、一人の兵庫県民として、今日の兵庫県に問いかけにやってきました。よろしくお願いします。


 問1 都市計画における線引きの見直しについて
 兵庫県政150周年の平成30年は、図らずも新都市計画法と呼ばれる都市計画法大改正の50周年でもある。この都市計画法における、いわゆる線引き制度は、都市が無秩序に拡大するのを防ぐことを目的に、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に区分し、市街化調整区域において、一般市民の住宅建設などを厳しく制限するものであります。
 平成12年、小泉内閣時代に規制緩和がなされ、権限は国から都道府県へ、そして線引き廃止も可能になりました。都市計画制度は、端的に言えば、押しくらまんじゅうをして陣取り合戦をせねばならない状況下でこそ必要な規制であります。ところが、バブル経済の崩壊を経て低成長時代となり、今や人がどんどん少なくなろうかという現状、主要都市圏を除けば、開発圧力は大幅に低下しております。


 知事は、今定例会での前田ともき議員の産業活性化に向けた規制緩和についての質問に対し、個別企業から相談の多い農業振興地域や、市街化調整区域における工場拡張においては、農政環境部とまちづくり部に担当参事を設置して相談調整を行うこととしたと答弁されました。
 私にはぴんとくるものがありました。既にして、その行使をされたという案件を耳にしていたからであります。
 当面する課題を解決するにふさわしい政策手段、トップダウンで実行されたすばらしい配慮だったと拍手を送っている一人であります。しかし、このような配慮を待たねばならない制度は、しょせん規制というたなごころで、民の心をもてあそばせ、悩ませ、苦しませるものではないでしょうか。農業振興のため、多額の税金が投入され整備された地域に農地転用を認めることは、覆水盆に返らずのはずであった税金投入の判断をひっくり返すことにもなり、それ相応の英断も必要でありましょう。
 しかし、耕作放棄地が増加するなど、土地利用状況が変化している中、さきに述べたような、小泉規制緩和がなされ、線引きも廃止も可能になっているにもかかわらず、規制を前提にし続けるのは、権力の忖度を図るものだと感じざるを得ません。


 自分の土地でありながら、自分の自由にならない、自由にはできない、市街化調整区域の農地に対する規制は、その地に住む人たち、とりわけその現実に抗しようもない大人たちの無力を見て育つ子供たちの精神に、少なからず影を落としているはずだと、そのことにも、考えを及ぼしていただきたい。
 どんな作物であれ、ごつごつ、粒々した種から育ちます。土にまかれ、太陽を浴び、だれに命令されることもなく育つ。持って生まれたその生命力に育てる者の愛情、人間の愛情が注がれ育つ、誰かに命令されたわけでも、誰に強制されることもなく、ただ自らの生命力と育てる人間の愛情によってのみ育つ。
 ところが、古来よりその土地の、その実りへの権力者は汗と涙と愛情を注いだ者の自由にはできずに来た。そんな閉塞感に満ちた状況下で育つことがどんな意味を持つか。その土地に対する子供たちの心が無意識に離反していくのは無理からぬことではないか。
 耕作放棄地が増加する元凶の一因にもなっているに違いない、そうとまで思ってしまいます。
 農地保護を金科玉条のごとく唱える一方で、一部だが、目端を利かせて太陽光発電施設を農地に設置した者が、農業生産よりもはるかに高額な売電収入を得ている現状を見たとき、農業に多少とも従事している者として、電力使用者として負担を強いられている側からすれば、心穏やかではいられません。私のよく知る地域では、都市計画法が施行された今から50年前、河川の本流接続近くでアシが生え、開発困難と思われるところを、あえて準工業地域にし、JRの駅に近く、県道沿線地域で、いつでも開発可能と目されるところを調整区にされました。おいしいものより苦手なものをさきに手につける仕掛けを選ばれたわけです。

 変化に対応しての見直しが可能と熟慮された上での先人の知恵だったに違いないと、その深慮に思い及びます。
 事実、準工業地域では、区画整理を経て、住宅真っ盛り、その間にも、おいしい、おいしい便利な調整区域には幾つもの公的機関が建設されました。
 ところが、50軒の農地所有者に対しては、今も50年目の縛りを解かれずにいます。市街化調整区域のまま据え置かれているのです。
 合併して、新たな区域になった市の職員が、えっ、市街化調整区域やったん、こんな便利なところで田んぼを続けるなんて、えらい奇特な人がようけおってやなと思うとった、そう上から下まで驚いたと聞きます。


 都市計画法大改正50周年を機に、50年前の都市計画を、この紋所が見えぬかと、大上段にかざすのはもうやめようじゃありませんか。
 地方創生は誰のためのものでもない、自己の実現を図るためでしょう。地方創生は誰の責任でもない、自己の責任においてなされるものでしょう。地方創生は、誰に任せるものでもない、自己の完結によってなされるものでしょう。地方創生は、地域創生は県民の力湧く叫びに応えられるものでなくてどうしますか。自己責任で自己完結が可能と自ら申し出る自己実現に対する意欲に、その心意気はよし、そうエールを送って差し上げる地方創生でなくてどうしますか。
 市場や個人の活力や意欲をそぐことなく、事業の拡大に新しい仕事に、地方への移住・定住、促進する環境づくりに、これまでの都市計画を根本から見直し、長年の呪縛から解き放たれるよう望み、今後の都市計画における線引き見直しについてご所見を伺います。


 問2 西播磨圏域における医師の養成・確保について
 西播磨におけるDMAT、災害拠点病院でもある赤穂市民病院では、産科診療・分娩が先月より休止の状態になっております。原因は、医師の欠員であります。


 さて、構想から大きく足を踏み出し始めた姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院を統合する新病院は、先進医療への貢献を含めた質の高い診療・教育・研究を行い、将来の活躍が期待される医師・医療従事者が集まるリーディングホスピタルを目指すと標榜しておられる。
 将来の活躍が期待されるとは、どの程度の技量、位置にある医師・医療従事者を指しているのでしょうか。また、中・西播磨圏域の医師修学資金制度や臨床研修システムの構築を図っていくともうたっておられる。これは、西播磨圏域における医師の供給・養成機関の必要性を踏まえてのことだと察します。

 事実、平成26年厚生労働省調査による、人口10万人当たり医療施設従事医師数は、全国平均233.6人に対し、本県は232.1人。このうち最多が神戸圏域298.3人、次いで阪神南圏域265.3人、逆に、ワーストスリーが阪神北圏域179.5人、ワーストツーが丹波圏域175.1人、ワーストワンが西播磨圏域153.1人。ベストワンの半分、51%、平均の66%。ワーストツーを20人以上も下回る断トツのワーストワン、それが西播磨圏域の医療の現状であります。
 ちなみに、中・西播磨圏域というふうに合わせて語られることが多い中播磨圏域は、ベストフォーの198.6人。


 ならば、その養成を我が手でとは、なぜならないのか。

 その教育機関を我が手でとは、なぜならないのか。

 良い医師を我が手で生み出すとはなぜならないのか。

 良い医師とは、第1に診断・治療での良い腕、第2に患者さんに優しく丁寧に接し、病む人の心が分かる情感、第3に同僚の医師やナースなど、コ・メディカルの人々と良い人間関係を持ち、チーム医療が行える能力、良い医師が集まってくれば、病院は自然と栄える。

 だから、病院事業の責任者や病院長の最も重要な仕事は、全国から良い医師を集めてくることだ。

 そこには、激しいトレーニングと競争環境を経験するアメリカにいる人材にも目をつける必要さえある。

 これは8年前に亡くなられた病院事業団として名高い武弘道さんに直接伺った思い出話です。


 1964年に県立神戸医科大学は神戸大学医学部への移管が開始され、1968年3月に移管が完了しました。移管完了から来年で50年。この50年を節目に、医師の養成・確保を自前でなし遂げる、自給・自足・自活への挑戦を新たにできないものか。

 西播磨地域には、最先端医療の粒子線医療センター、心身の回復を図るリハビリテーションセンター、そして県立大学理学部があります。

 県立大学理学部大学院の生命理学研究科は、いわば生命、命を科学して、バイオ技術や原子・分子及び細胞レベルで研究し、物理学的手法で解明しようというもの。内外から高い評価を得ています。

 科学として、生命、命を追求する人材と、自然摂理としての人間の命、生命を授かり預かる人材を、同じ地で遭遇させるインパクト、そう思い、あえて触れてみました。

 

 医師数が格段に少ない西播磨圏域に、そしてこれら最先端の医療関係施設が集結する県立大学播磨理学キャンパスに医学部を新設できないか、正直なところ、そう熱望するのですが、今日のところは提案にとどめておきます。ついては、西播磨圏域における医師の養成・確保についてご所見をお伺いいたします。

 


 問3 ナショナルトレーニングセンター関西館の誘致について
 2008年、日本初のトップレベル競技者用トレーニング施設として、東京都北区にナショナルトレーニングセンターが整備されました。兵庫県出身で重量挙げの八木かなえ選手をはじめ、多くのオリンピアン、パラリンピアンなどJOC及びJOC加盟競技団体に所属する選手・スタッフが専用で利用し、今や、トップアスリートのメッカになっていることで有名であります。
 

 一方、4年後の2021年、生涯スポーツのオリンピックと言われるワールドマスターズゲームズ2021関西が開幕します。本県においても、県立武道館でのテコンドーをはじめ、卓球、水泳、バスケットボールなど、13種目の競技で、熱戦が繰り広げられまする。こうした県内でのスポーツ振興の盛り上がりを、本県の地政学上から持つ魅力に併せ見たとき、私は先に触れたナショナルトレーニングセンターの関西館を誘致してはどうかと夢見てしまいます。
 

 例えば、国立国会図書館は、その言葉どおり国の機関であり、国会の立法行為を補佐することを第一の目的として設立されております。その関西館が1994年、けいはんな学研都市と呼称されることの多い関西文化学術研究都市に整備された経緯があります。これにより、同地にある奈良先端科学技術大学院大学と相まって、けいはんな学研都市の存在感を大きなものにしています。
 

 我が県には、県立武道館をはじめとする連携可能なスポーツ施設が整備されているとともに、現センターが位置する東京都北区では得られないロケーション、つまりは、さまざまな幸に恵まれた海があり、河川があり、豊かな自然の中での交通至便さを併せ持っています。誘致先として六甲山のある神戸に、海の幸豊かな淡路島に、山の幸豊かな丹波篠山の丘陵に、あるいは全天候型サッカー場や障害者スポーツ優先施設のふれあいスポーツ館を展開する播磨科学公園都市にと、思うだけで心が躍るのは私だけでしょうか。
 

 誘致が実現すれば、観光資源としても、アスリートファーストの取組を内外に、有形無形で知らせる効果は計り知れないと思われます。
 ついては、スポーツ立県ひょうごを目指す本県に、ナショナルトレーニングセンターの関西館を誘致しようとする機運を盛り上げていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。


 問4 世界的な大学進学を目指す教育プロジェクトについて
 手元に届いたばかりの第2期ひょうご教育創造プラン取組状況に目を通しました。

 それぞれの現場での奮闘努力に敬意を表しつつ、何か、画竜点睛を欠くような感覚にとらわれました。

 オリンピックでの血沸き肉躍る興奮、2013年4月に10秒01で100メートルを駆け抜けた桐生祥秀選手の出現から、にわかに層が増し、ついに先日、10秒の壁を破った陸上競技のスプリント。中学生棋士、藤井聡太4段の出現による将棋ブーム。つまり、下地を作る大切さと同時に、飛び抜けたスターの出現、存在が、活気づかせ、一気に底辺を広げる絶大な効果があります。そのことです。


 教育の世界においても、東大、京大など国内での進学実績を競う受験現場に、小さい、小さい、何言うてまんねん、殻を一挙に突き破らせ、世界へと目を向けさせる動機立てが必要なのではないでしょうか。

 ただ、結果が明らかにさらされるスポーツとは異なり、人間が持つやっかみという、厄介な情念に言い及んでおかねばなりません。

 しかし、それを克服するところに、教育の真髄があります。そして何より教育で大事なのは、自分より優れた相手の存在を認めること。すごいな、大したもんだ、やるじゃないか。そうやって相手の存在を認め、拍手を送れる。教育が目指す心は、そこにあるのではないでしょうか。

 

 数多く存在する世界大学ランキングの中で、最も権威があるとされているタイムズ・ハイアー・エデュケーション、略してTHEが本年9月5日に発表した世界のベストセブンは、オックスフォード、ケンブリッジ、カリフォルニア工科大学、スタンフォード、マサチューセッツ工科大学、ハーバード、プリンストン。日本の大学では、ようやく46位に東京大学、74位に京都大学が顔を出しました。天然資源が乏しい我が国おいて、今も昔も、四季豊かに囲まれ、海に囲まれ、育まれてきた私たち日本人が持つ人間力を基盤とする自らの科学力・技術力によって、国際競争力を高め今日の繁栄と生活を築いてきました。


 私たち自身が次の世代に託し、残すべきは、その科学力・技術力への取組・好奇心ではないでしょうか。

 この私たちの姿勢を形で表すにはどうすれば良いか。

 日本にいながら、世界を視野に入れる。さきに述べた世界的評価の高い大学への進学や、将来、世界的な研究機関での活躍を志す、その高校生、心意気をこそ養うことではないでしょうか。

 ノーベル賞の発表が今週から始まるそうです。

 目指せノーベル賞です。

 そのための教育プロジェクトを設けることで、バトンパスをする私たちの心意気を示せるのではないか、そう考えてのことでございます。ご所見をお伺いします。


 

 問5 揖龍南北幹線道路の整備拡充について
 この質問は、兵庫の名物市長と言われた今は亡き西田たつの市長と交わした会話が出発点です。
 平成の大合併の一つ、たつの市誕生に二つの鍵。一つが、市名を平仮名表記のたつの、もう一つが揖龍南北幹線、これが問題です。


 人の流れも物流も、今や東西。それが明白であるにもかかわらず、なぜ今さら南北の幹線が必要なのか。

 これには、三つの願いが込められている。

 一つ、淡路島に似て南北に長い、たつの市を貫く柱。

 二つ、たつの市の北に接する森林王国宍粟市の中国自動車道山崎インターチェンジから揖保川沿いに一路一機果敢に南下し、山陽自動車道龍野インターチェンジを経て、国道2号を通り、JR山陽本線をまたぎ、瀬戸内海に至り、海と山の交流・融合を図る。

 三つ目、ベンツ車のエンブレムマークのごとく、一級河川揖保川と林田川の合流点付近のたつの市萩原・真砂をマークの中心に見立てれば3枚の羽根が伸びます、一枚は森林王国宍粟へ、一枚が揖保川を渡り、市場地先のトンネルを抜け、瀬戸内海国立公園の新舞子浜へ一直線、そして東へ延びる残る1枚、太子町の沖代線から、さらに東に分岐させ、姫路市のJR網干駅南へと向かわせれば、ベンツエンブレムが四つ葉のクローバーに化けます。

 幸せを呼ぶという、その四つ葉のクローバーが一つのプロペラとなって舞うがごとく地域一帯の魅力を舞い上がらせます。つまり、単なる広域幹線道路の域をはるかに超え、その波及効果は西播磨から中播磨地域にまで及び、地域創生を席巻する役割を担うことになります。


 今や、国道2号から南部分については、県と合併特例債を用いたたつの市で、役割分担しながら進めてきたものが、JR山陽本線を超える跨線橋をシンボルに、構造物が目に見えて立ち上がり、完成間近を予感させています。

 この上は、太子町に向かう3枚目のプロペラを、太子町を貫いてそのまま東へ延ばし、四つ葉のクローバーになるよう、姫路市で県道太子御津線への接続を目指す。拡充を急ぎましょう。このことが、ひいては揖龍南北幹線道路の整備効果を飛躍的に向上させるものと確信しております。


 一方、揖龍南北幹線道路のたつの市新宮町から北部分は、まだ課題が残る区間であります。

 特に、たつの市と宍粟市の市境付近は、道路が山と揖保川に挟まれた狭い空間を縫うように通っており、大きくカーブしている。トンネル構想がある部分ですね。この周辺では、県道26号線宍粟新宮線への落石のみならず、道路からやや離れた農水路がしばしば崩れて埋まると聞いております。平成28年1月にも道路への落石が発生しました。
 このように、住民が危険を感じている状況を踏まえ、対策の必要性を受け止めていただき、トンネル化を含め、社会基盤整備プログラムへの位置づけをと、早急な対応を願うものであります。

 

 ついては、揖龍南北幹線道路の整備状況と、たつの市と宍粟市の市境付近のトンネル構想の見込み、併せて、揖龍南北幹線道路の事業効果を飛躍的に高める東への道路整備について、ご所見をお伺いします。


 問6 山根川の河川改修について
 本年7月の九州北部豪雨では、短時間で記録的な雨量を観測、総雨量は500ミリを超える大雨で、甚大な被害が発生しました。

 本県でも、先月9月17日、台風18号に伴う降雨により、神戸地方気象台では、たつの市付近に記録的短時間大雨情報を発表しました。1時間当たり74ミリの集中豪雨が、県龍野庁舎の観測所で観測された。JR姫新線の本竜野駅の東側を流れる山根川付近に居住している住民から、これまでも、大雨のたびに浸水・冠水に脅かされていると聞いておりました。

 そして今回、台風18号に伴う降雨時、やはりというか、またしても山根川沿いの道路が冠水しました。山根川の河川改修工事は、林田川合流点から上流にかけての1.8キロであります。下流から順次改修工事を進めてもらっております。事業着手は昭和55年。以来37年、いまだ完成を見ておりません。未改修区間では事業の完成を一日千秋の思いで待っている住民がおります。

 山根川の現在の整備状況と、今後の取組について、ご所見をお伺いします。


 以上、答弁内容に胸膨らませつつ、質問席に移らせていただきます。

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